米国において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染していない約5万人の医療従事者を対象としたメッセンジャーRNA(mRNA)SARS-CoV-2ワクチンの有効性を検討する大規模コホート研究が実施された。米・Mayo ClinicのMelanie D. Swift氏らは、2種のmRNAワクチン2回接種後の感染予防に対する有効性が96%を超えることが認められたと、Clin Infect Dis2021年4月26日オンライン版)に発表した。

職業上の感染リスクが高い医療従事者4万9,220人に9万4,382回分を接種

 Mayo Clinicは、2020年12月に勤務する医療従事者約7万6,000人に対するSARS-CoV-2ワクチン接種プログラムを開始。職種上の感染リスクに基づき、段階的にmRNA SARS-CoV-2ワクチン(ファイザー/ビオンテック製のトジナメランまたはモデルナ製のModernaTX)を任意で接種した。

 Swift氏らは、事前にSARS-CoV-2に感染していないことが確認され、ワクチン接種対象となった医療従事者7万1,152人のうち、研究期間終了までに9万4,382回分のmRNAワクチンを接種した4万9,220人を対象とした。内訳は4万5,162人が2回接種(トジナメラン4万1,741人、ModernaTX3,421人)、4,058人は1回接種であった(それぞれ2,757人、1,301人)。

有効性はトジナメラン96.8%、ModernaTX98.6%

 追跡期間中央値は89日〔平均80日(標準偏差16日)、四分位範囲78~89日〕で、追跡可能だった2回接種群4万4,011人(2回目接種後14日以上経過)、1回接種群3,210人(1回目接種後14日以上経過または2回目接種後14日以内)、未接種群2万3,931人(未接種または1回目接種後14日以内)についてデータを比較検討した。

 2回接種群は未接種群と比べ、年齢中央値(44歳 vs. 40歳)、男性の割合、患者と直接接触する職種の割合が有意に高く(P<0.001)、白人やアジア人の割合も高かった。

 ワクチン接種時の年齢、性、地域、職種および人種を調整した後の有効性は、トジナメランが2回接種で96.8%、1回接種で78.1%、ModernaTXはそれぞれ98.6%、91.2%であった。

未接種群の感染例では症候性の割合が高い

 追跡期間中に新たにSARS-CoV-2陽性が確認された医療従事者は2回接種群30人(0.1%)、1回接種群98人(3.1%)、未接種群997例(4.2%)、そのうち症候性感染はそれぞれ22人(73.3%)、66人(69.5%)、876人(89.2%)であった。検査後のインタビューによると、未接種群ではCOVID-19の症状を経験した割合が接種群に比べ有意に高かった(P<0.001)。

 以上から、米国の医療従事者約5万人の大規模コホートにおいて、2種のmRNA SARS-CoV-2ワクチンは2回接種から14日以降に無症候性を含むSARS-CoV-2感染を96%以上抑制することが明らかになった。同氏らは「この研究結果は、mRNAワクチンがリアルワールドで働く成人に極めて効果的であるというエビデンスを提供するものである」と述べている。

(宇佐美陽子)