重症化した新型コロナウイルス患者の治療に欠かせない医療用酸素。急激な感染拡大が続くインドでは、各地で供給不足が深刻化し、助けられるはずの患者が死亡するケースが相次いでいる。日本国内の供給体制はどうなっているのか、業界団体に聞いた。
 全国の産業・医療ガス事業者の大半が加入する「日本産業・医療ガス協会」によると、国内の医療用酸素の年間販売量は、産業用も合わせた全体(約15億立方メートル)のおよそ1割。現在安定的に供給されており、病院で治療を受ける患者が倍増しても対応可能という。新型コロナの影響で他の病気の治療や手術が延期となり、医療用酸素の使用量はむしろ減少している。
 懸念されるのは、在宅治療の患者が劇的に増えて、ボンベの需要が跳ね上がるケースだ。ただ、2011年に東日本大震災の被災地で医療用ボンベが不足した際は、厚生労働省が工業用ボンベの転用を許可しており、「工業用が医療用のセーフティーネットになっている」(同協会担当者)という。
 インターネット上では、医療用酸素ボンベなどがまれに出品されることがあるが、個人での購入は法律で禁じられている。国内の供給状況も安定しており、担当者は「マスクやトイレットペーパーのような買い占めが起きることは考えにくい」と説明。安易に購入しないよう注意を呼び掛けている。 (C)時事通信社