新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株の出現が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行収束を阻んでいる。日本では、有効とされるワクチン接種も思うように進んでいない。こうした中、米・ノババックス社のVivek Shinde氏らは、開発中のNVX CoV2373ワクチンの有効性を評価する初期/後期第Ⅱ相試験を実施。その結果、南アフリカ変異株(B.1.351系統の501.Y.V2)に対する有効性が示されたと、N Engl J Med2021年5月5日オンライン版)に発表した。

21日間隔で2回接種

 NVX CoV2373ワクチンは、同社が開発を進めるSARS-CoV-2ワクチン候補の1つ。これまでに、健康成人を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験では概して良好な忍容性を示し、強力な中和抗体応答および抗原特異的CD4陽性T細胞応答を誘導したことが報告されている。

 そこでShinde氏らは、初期/後期第Ⅱ相試験を実施。刻々と変わるSARSCoV-2感染状況下におけるNVX CoV2373ワクチンの有効性を検討した。

 南アフリカで登録したHIV陰性成人(18~84歳)および医学的に安定しているHIV陽性成人4,406例(18~64歳)を、NVX-CoV2373ワクチン(Matrix-M1アジュバント50μg含有遺伝子組み換えスパイク蛋白質5μg)群とプラセボ群に1:1でランダムに割り付け、21日間隔で2回の筋肉内注射を行った。

 主要評価項目は、NVX-CoV2373ワクチン2回目接種後から7日以降の症候性COVID-19発症および安全性とした。

有効性は49.4%、HIV陰性者では60.1%

 解析対象はCOVID-19既往者、2回目のワクチン接種7日目以前に血清IgG抗体陽性となった者などを除外した2,684例(HIV陰性94%、HIV陽性6%)。そのうちCOVID-19と診断されたのはワクチン群が15例、プラセボ群が29例。プラセボ群の1例を除き、全例が軽症~中等症だった。

 Per-protocol解析によるワクチンの有効性は49.4%だった(95%CI 6.1~72.8%)。HIV陰性者に限ると60.1%(95%CI 19.9〜80.1%)であった。

南アフリカ変異株に対する有効性は43%、HIV陰性者では51%

 連続して分離された41株のうち、38株(92.7%)が南アフリカ変異株だった。Post hoc解析によると、南アフリカ変異株に対するワクチンの有効性は43.0%(95%CI -9.8~70.4%)。HIV陰性者に限ると51.0%(同-0.6~76.2%)だった。

 局所性および全身性の有害事象は、プラセボ群に比べワクチン群でより一般的なものであり、局所性で多かったのは両群とも注射部位の痛みだった。重篤な有害事象は両群ともほぼ見られなかった。

 Shinde氏らは、今回の研究の限界について、有効性の評価は予備的なものである、重症のCOVID-19に対するワクチンの有効性については検討していない―などを示した。

 今回のCOVID-19発症例は大半が南アフリカ変異株によるものだったことから、同氏らは「NVX-CoV2373ワクチンは南アフリカ変異株に対して有効性を発揮する」と結論している。

(比企野綾子)