呼吸不全の新治療法として、特殊な「かん腸液」に酸素を多く溶け込ませ、直腸の血管から吸収させる技術を開発したと、東京医科歯科大と名古屋大、京都大の研究チームが14日付の米科学誌「メッド」に発表した。ブタなどの動物実験で効果を確認した。人工呼吸器との併用や体外式膜型人工肺(ECMO、エクモ)を使えない患者への投与を想定しており、餅などを喉に詰まらせた人を救急搬送する際にも使える可能性があるという。
 東京医科歯科大の武部貴則教授は「最大で1日6回程度、連続1週間使い続けられれば、多くの患者にメリットがある。医療機器か医薬品としての承認を目指し、1~2年後に臨床試験を始めたい」と話している。
 この「かん腸液」は人体に無害で、目の手術や肺の洗浄などに使われる医療用の「パーフルオロカーボン」。排便を促す薬の成分は含まない。酸素がよく溶け、ブタの実験では1回に400ミリリットルの投与を繰り返して呼吸不全の治療効果を確認した。新技術は「腸換気(EVA)法」と名付けられた。
 武部教授は「ドジョウが低酸素環境では腸から酸素を得ることをヒントに研究を始めた」と説明。「新型コロナウイルス感染で呼吸不全患者が増え、人工呼吸器やエクモが使われるが、患者の負担が重くコストも高い。簡便で負担が軽い方法が求められている」と話している。 (C)時事通信社