新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に関しては、変異株の出現や若年層にも残る後遺症などが報告され、人々の不安が増している。英・University Hospitals of LeicesterのEnya Daynes氏らは、後遺症を有する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)既往患者を対象に、週2回、6週間の有酸素運動を含むリハビリテーション(リハビリ)プログラムの有効性を評価する観察研究を実施。その結果、運動能力や倦怠感、呼吸器症状などの後遺症が改善したと、Chron Respir Dis2021年5月6日オンライン版)に発表した。

身体的・心理的症状で日常生活に影響のある32例で評価

 COVID-19の後遺症が残存する患者に対しては、通常の生活に戻れるよう包括的なリハビリプログラムを提供する必要がある。そこでDaynes氏らは今回、後遺症が残るCOVID-19既往患者を対象とした初のリハビリプログラムを開発。運動能力や呼吸器症状、認知機能などを評価し、その有効性を検討した。

 対象は、後遺症を有するCOVID-19既往患者で、身体的・心理的症状が日常生活に影響を及ぼし、リハビリの必要性を感じている32例。急性症状を呈する例、症状が安定しない例、リハビリプログラムでは改善が見込めない味覚障害などの症状のみの例は除外した。

 リハビリプログラムの期間は6週間。有酸素運動(ウォーキングまたはウォーキングマシンを使った歩行)、下肢・上肢の筋力トレーニング、症状や日常生活に関する教育から成るセッションを週2回、対面式で行った。全12セッション中8セッション以上の参加でプログラム完了とした。

運動耐容能が有意に改善

 検討の結果、プログラムを完了したのは30例(男性52%、平均年齢58±16歳)。入院患者は26例(平均入院期間10±14日)で、集中治療室(ICU)での人工呼吸器管理が5例、呼吸器疾患の既往歴を有していたのは4例〔喘息3例、慢性閉塞性肺疾患(COPD)1例〕だった。

 COVID-19の診断から登録までの期間は平均125±54日、参加セッション数は平均11±1だった。登録時の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は平均96.3±1.2%、安静時心拍数(HR)は80.9±12.2回/分だった。

 10mのシャトルウォーキングテストで運動耐容能を評価したところ、漸増負荷法(ISWT)、一定負荷法(ESWT)ともプログラム実施後に有意な改善が認められた(ISWT:歩行距離の延長は平均112±105m、ESWT:運動持続時間の延長は平均544±377秒、いずれもP<0.01)。

息切れ、倦怠感、認知機能も有意に改善

 さらに、慢性疾患患者の疲労評価スコア(FACIT)は5±7ポイント上昇(P<0.01)、健康関連QOL評価(EQ5D)は8±19ポイント上昇(P=0.05)、モントリオール認知機能評価(MoCA)は2±2ポイント上昇(P<0.01)、COPDアセスメントテスト(CAT)は3±6ポイント低下(P<0.05)といずれもプログラム実施後、有意に改善した。

 重篤な有害事象は認められず、後遺症状の悪化による脱落例はなかった。

 Daynes氏らは、今回の研究を振り返り「包括的なリハビリプログラムを行うことで、COVID-19の後遺症である倦怠感の悪化や誘発を懸念していた。しかし実際には、運動能力や息切れ、倦怠感、認知機能などが改善し、安全性も示された」と評価。その上で、「より大規模な研究による検証が必要だろう」と付言している。

(比企野綾子)