脳内出血と虚血性脳心血管疾患は共通の危険因子を有するが、両疾患の相関についてはよく分かっていない。米・Weill Cornell MedicineのSantosh B. Murthy氏らは、米国のコホート研究4件・約5万例のプール解析で両者の関連を検討した結果、脳内出血が虚血性疾患の予測マーカーとなる可能性が示されたとJAMA Neurol2021年5月3日オンライン版)に発表した。

虚血性脳卒中で約3倍、心筋梗塞で約2倍のリスク上昇

 対象は①Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)study②Cardiovascular Health Study(CHS)③Northern Manhattan Study(NOMAS)④Reasons for Geographic and Racial Differences in Stroke(REGARDS)study-の4件・計5万5,131例。各研究のベースライン時点で脳内出血、虚血性脳卒中、心筋梗塞を有する患者およびデータ欠測例を除外した4万7,866例(平均年齢62.2歳、女性57.7%)を主要解析に組み入れた。主要評価項目は虚血性イベント(虚血性脳卒中と心筋梗塞の複合)とした。

 解析の結果、中央値で12.7年の追跡期間中に発生した脳内出血は318例、虚血性イベントは7,648例(16.0%)だった。

 動脈虚血性イベントの発生率(100人・年当たり)は、脳内出血の非発症群では1.1例(95%CI 1.1~1.2例)だったのに対し、脳内出血発症群では3.6例(同2.7~5.0例)に上昇した。

 Cox比例ハザード回帰モデルを用い、ベースライン時の年齢、性、人種/民族、血管合併症、抗血栓薬投与の有無を調整後の解析で、脳内出血発症群は虚血性イベントで2.3倍〔ハザード比(HR)2.3、95%CI 1.7~3.1〕、虚血性脳卒中で3.1倍(同3.1、2.1~4.5)、心筋梗塞で1.9倍(同1.9、1.2~2.9)のリスク上昇が認められた。

脳内出血は虚血性脳心血管疾患のマーカーとなりうる

 複数の感度解析においても、脳内出血による虚血性イベントのリスク上昇が一貫して認められた。

 具体的には、共変量を経時的に更新した場合のHRは2.2(95%CI 1.6~3.0)、発生密度マッチングを行った場合のオッズ比は2.3(同1.3~4.2)、ベースラインで脳内出血、虚血性脳卒中、心筋梗塞を有する患者を含めた場合のHRは2.2(同1.6~2.9)、死亡を競合リスクとした場合の部分分布のHRは1.6(同1.1~2.1)だった。

 以上を踏まえ、Murthy氏らは「脳内出血は、虚血性脳卒中および心筋梗塞のリスクを上昇させることが確認され、虚血性脳心血管疾患の予測マーカーとなる可能性が示唆された」と結論。病態生理学的な観点から推測されるリスク上昇の機序として、血腫による炎症、抗血栓薬の中止、共通の血管危険因子などを挙げている。

(太田敦子)