2型糖尿病患者は認知症を発症するリスクが高いことが複数の研究で示されている。フランス・Université de ParisのClaudio Barbiellini Amidei氏らは、2型糖尿病を発症した年齢が低いほどその後の認知症リスクが高くなり、60歳未満の2型糖尿病発症例では、70歳時点の認知症リスクが2.12倍になるとする研究結果をJAMA2021;325:1640-1649)に発表した。

英国の公務員約1万例を解析

 糖尿病患者では心血管疾患や死亡などのリスクだけでなく、認知症のリスクも高いことが複数のメタ解析で示されている。また、糖尿病の発症年齢が低いことは死亡や心血管アウトカムに関連する重要な因子であることも明らかにされているが、糖尿病と認知症の関連について検討したメタ解析では糖尿病の発症年齢は考慮されていなかった。

 そこで、Amidei氏らは今回、英国・ロンドンの公務員を対象としたコホート研究であるWhitehall Ⅱ studyと医療記録のデータを用いて、2型糖尿病の発症年齢と中年期から高齢期における認知症発症リスクの関連について検討した。

 解析には1985年に同研究に登録された1万95例(男性67.3%、1985~88年の時点で年齢35~55歳)を組み入れた。このうち639例(6.3%)が2019年までの追跡期間(中央値31.7年)に認知症と診断されていた。また、同期間中に1,710例が2型糖尿病を発症し、153例(8.9%)はその後に認知症と診断されていた。

糖尿病に加え脳卒中合併でリスクはさらに上昇

 認知症の発症率(1,000人・年当たり)は、70歳時点で2型糖尿病がない人で8.9件であったが、2型糖尿病を65歳以上70歳未満で発症した人では10.0件、60歳以上65歳未満で発症した人では13.0件、60歳未満で発症した人では18.3件だった。

 多変量解析の結果、70歳時点で2型糖尿病がなかった人に対する認知症発症のハザード比は、2型糖尿病を60歳未満で発症した人で2.12(95%CI 1.50~3.00)、60歳以上65歳未満で発症した人で1.49(同0.95~2.32)、65歳以上70歳未満で発症した人で1.11(同0.70~1.76)だった。また、線形傾向検定では2型糖尿病の発症年齢と認知症発症に段階的な関連が示された(P<0.001)。

 以上を踏まえ、Amidei氏らは「追跡期間の中央値が31.7年間に及ぶ長期コホート研究において、糖尿病の発症年齢が低いことと後年の認知症リスクの上昇に有意な関連が認められた」と結論。また、脳卒中を合併する糖尿病患者では、糖尿病のみを有する患者と比べて認知症リスクがより高いことも今回の研究で示された点に言及し、「糖尿病患者の認知症リスクに関しては、糖尿病の発症年齢とともに心血管の合併症も重要である」と述べている。

(岬りり子)