政府・与党は18日、日本に不法滞在する外国人の収容・送還のルールを見直す入管難民法改正案について、今国会成立を見送る方針を決めた。政府の新型コロナウイルス対応に国民の不満が高まり、菅内閣の支持率が落ち込む中、採決を強行するのは得策ではないと判断した。改正案は廃案となる見通しだ。
 与党としては他の重要法案の審議への影響を回避する狙いもあった。ただ、野党の抵抗で改正案の成立断念に追い込まれたことは、菅義偉首相にとって痛手になりそうだ。
 自民党の二階俊博幹事長は18日、公明党の石井啓一幹事長と国会内で会談し、改正案の見送りを確認。この後、立憲民主党の福山哲郎幹事長と会い、「審議はこれ以上進めない」と伝えた。
 同日の衆院本会議では、立憲などが改正案を阻止するために提出した義家弘介衆院法務委員長(自民)の解任決議案の採決が予定され、入管施設収容中に死亡したスリランカ人女性の遺族が傍聴を計画していた。福山氏は会談で、解任案を取り下げる考えを示す一方、遺族が求める入管施設の監視カメラ映像の開示を念頭に、「遺族に一定の配慮をお願いしたい」と求めた。
 自民党幹部によると、首相も採決見送りを承諾したという。
 改正案は、外国人の収容長期化を回避するため、難民認定手続き中は送還が停止される規定に例外を設け、申請3回目以降は強制送還を可能にすることが柱。
 立憲はこの例外規定の削除など10項目の修正とともに、監視カメラ映像の即時開示を要求。自民は修正に応じる姿勢を示したものの、映像開示は拒否し、協議が決裂した。
 衆院議員の任期満了が10月に迫っており、改正案は衆院解散に伴い廃案となりそうだ。法務省は原案のまま再提出を検討しているが、与党内には「修正を折り込んだ法案を出すのが誠実な態度だ」(世耕弘成自民党参院幹事長)との声もある。 (C)時事通信社