【ワシントン時事】バイデン米大統領は17日、新型コロナウイルスのワクチン2000万回分を追加で外国に供給すると発表した。ワクチン提供をてこに途上国などで影響力拡大を目指す中国やロシアに対抗し、「ワクチン外交」に本腰を入れる姿勢を強調した。
 ホワイトハウスで演説したバイデン氏は「ロシアや中国がワクチンを使って、世界で影響力を行使していると言われている」と指摘。「米国民の創意工夫と良識を示し、われわれの価値で世界をリードしたい」と述べ、「民主主義国代表」としてワクチン分野で貢献する決意を表明した。
 米国は既にワクチン6000万回分の海外供給を決めていたが、これは米国で使用許可が下りていない英アストラゼネカ製で、外国に提供しても国内の接種計画に直接影響しない。だが、今回発表された2000万回分は、米国で使用されている米ファイザーなど3社の製品。それを海外に回すことで、国際貢献に向けたバイデン政権の「本気度」を示した形だ。
 ロイター通信によると、中米ホンジュラスのエルナンデス大統領は今月、ワクチン確保のため、国交のない中国に通商代表事務所を開設する可能性を示唆。中国は南米パラグアイに対しても、ワクチン提供と引き換えに台湾との断交を持ち掛けたと報じられ、米国務省当局者は「狭量な政治的目的のために、人命に関わる医療支援を利用している」と非難していた。
 ロシアもワクチン「スプートニクV」供給を通じて、南米諸国との関係強化を図っている。米紙ポリティコは関係者の話として、そうした動きに危機感を募らせた各国駐在の米外交官らが「バイデン政権が決断しないことで、中ロを助長している」と主張し、ワクチンの海外供給を促進するよう国務省に進言したと伝えている。
 米国は先に、途上国のワクチン確保を支援するため、特許権の一時放棄を支持すると表明。タイ通商代表部(USTR)代表は議会で、コロナ禍では「並外れたリーダーシップが必要だ」と証言し、米国が指導力を発揮する決意を示した。だが、欧州諸国には特許権放棄への慎重姿勢が目立つ上、野党共和党からも「中ロに技術が流出する」と懸念が噴出。バイデン政権は難しいかじ取りを迫られている。 (C)時事通信社