アストラゼネカはこのほど、10年以内に肺がんの根治術を受けたⅡ~Ⅲ期の肺がん患者131例を対象に、術前後の心理状態と術後補助化学療法実施に影響を及ぼす因子に関するアンケートを実施し、5月11日付で結果を発表。調査結果から、患者の治療選択における情報入手先として医師が80%を占め、術後補助化学療法実施の意思決定は、患者が医師からの説明をどのように受け止めたかに大きく左右されることが明らかとなった。

患者会の代表もアンケート監修に参画

 今回の調査対象は、肺がん根治術を10年以内に受けたⅡ~Ⅲ期の患者131例(医師から術後補助化学療法の説明を受けた患者101例、受けていない患者30例)で、2020年10月9日~11月19日にウェブ形式で実施した。 調査項目は①医師とのコミュニケーションと意思決定について②根治術前後の心理について③術後補助化学療法に対する考えについて―の大きく3つで、監修者として広島大学腫瘍外科教授の岡田守人氏ら医師の他、肺がん患者の会ワンステップ代表の長谷川一男氏らも参画した。

 全体の主な患者背景は、女性が86.1%、年齢が59歳以下は30.7%、60歳代は38.6%、70歳以上が30.7%、肺がん診断当時に無職が26.7%、術後病期はⅡA期が23.8%、ⅡB期が22.8%、Ⅱ期(ⅡA期かⅡB期かは不明)が11.9%、ⅢA期が22.8%、Ⅲ期(ⅢA期、ⅢB期、ⅢC期のいずれかは不明)、術後経過年数は1年未満が10.9%、1~2年未満が21.8%、2~3年未満17.8%、3~5年未満が26.7%、5~10年未満が22.8%、再発はありが22.8%、なしが77.2%だった。

再発への不安は経過期間を通じて高い

 まず、①医師とのコミュニケーションと意思決定について、がんと診断後に治療選択を判断する際の情報入手先は、医師からの説明が80%と、多くが医師からの説明を頼りにしていた。また、術前後、術後補助療法実施時のアンケート結果を見ると、医師からの説明はいずれの期間においても、その時点での病状や治療などの短期的な項目に関する割合が70%以上と高い一方で、生活への影響、再発の可能性といったやや長期的な項目の割合は低かった。それに対し、患者は短期およびやや長期的の両項目とも詳細な説明を聞きたいと考えていた。

 続いて、②根治手術前後の心理については、患者は根治術前後、術後補助化学療法実施時のいずれにおいても、再発の可能性(それぞれ83.1%、77.2%、71.9%)と今後の生活への不安(63%、60%、60%)を感じていた。術後補助化学療法実施時では、77%の患者が副作用に対する不安を感じていた()。

図. 不安の変化(根治術前後、術後補助化学療法施行時)

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(アストラゼネカプレスリリースより引用)

 ③術後補助化学療法に対する考えについては、医師から患者への説明として、腫瘍サイズ、病期、リンパ節転移の有無などが70%以上で伝えられ、患者の多くは術後の病状を認識していたものの、がん切除後の再発に不安を感じる割合は69%に上った。前提条件として「手術だけで治る可能性があるが、手術だけでは再発する可能性が一定の割合ある。術後補助化学療法によって、再発の割合を下げることができなくても再発の時期を年単位で遅らせる可能性がある」と設定した場合に、術後補助化学療法を「受ける」か「受けない」を聞くと、「受ける」に共感した割合は70%、「受けない」は30%であった。

 「術後補助化学療法を受ける」との意見に対する共感は、「やれることはやっておきたい」が100%、「再発による生活・気持ちへの影響」が94%で、抗がん薬の副作用は93%が許容していた。一方、「受けない」に対する共感は、「抗がん薬の副作用による生活・気持ちへの影響」 が83%、「手術だけで治る可能性/術後補助化学療法によらず再発する可能性」が90%、「抗がん薬は再発してからでよい」が80%であった。

 今回のアンケート結果を踏まえ、同社は「根治術を受けた肺がん患者の多くは、治療選択の際に医師からの説明を頼りに判断している実情が分かった。診断から手術、術後補助化学療法へと、治療選択の意思決定をサポートするために、医師からの説明に加え、適正な情報へのアクセスをサポートすることが重要と考えられた」とまとめ、術後補助化学療法については、「患者の多くは、再発率を低下させることができず再発の時期を遅らせるだけだとしても、無再発期間を重要視しており、術後補助化学療法を受ける考えに共感を示した」と考察している。

編集部