運動中に糖質飲料を口に含む「マウスリンス」は、パフォーマンスを高める手段の1つ。英・Loughborough CollegeのDaniel R. Brown氏らは、ランニング中にピンクまたは透明の飲料でマウスリンスを行うクロスオーバー試験を実施。その結果、ピンクの飲料によるマウスリンスでは、パフォーマンスが4.4%向上したと、Front Nutr2021年5月12日オンライン版)に発表した。

対象は運動習慣のある健康な男女10例

 運動パフォーマンスの向上を目的に行うマウスリンスを行うと、1時間以内のランニングや自転車では運動パフォーマンスが2~3%改善すると報告されている。

 一方、食品や飲料の色は知覚に影響することが知られている。例えば、ピンク色の食品や飲料を見ると甘味の知覚が強まる。

 Brown氏らは今回、ランニング時にピンク色の飲料でマウスリンスを行うとパフォーマンスが向上するとの仮説を単盲検クロスオーバーランダム化比較試験で検証。30分間のランニング中に人工甘味料で甘み付けしたピンクまたは透明の非糖質飲料でマウスリンスを行い、走行距離、速度、気分を比較した。対象は、運動習慣のある健康な成人10例(男性6例、女性4例、平均年齢30±3歳、運動頻度3回/週以上)とした。

 運動にはトレッドミルを使用。12分間のウオーミングアップ〔歩行2分間+自覚的運動強度(RPE)12(楽~ややきつい)でランニング10分間〕後に、RPE 15(きつい)で30分間のランニングを行った。RPEを維持するために必要な速度は自己選択とした。マウスリンスは計9回(ウオーミングアップ中に4回、ランニング中に5回)実施した。快/不快は-5~5の11段階でスコア化し、マウスリンスの30秒前と運動終了時に評価した。

透明飲料に比べ、パフォーマンスが4.4%向上

 解析の結果、30分間のランニングによる走行距離は、マウスリンスに透明の飲料を用いたときの4,835±816mに対し、ピンクの飲料を用いたときには5,047±795mと有意に延長(+213±247m、95%CI +36~389m、P=0.023、Hedge's g=0.25)した。平均速度は、透明の飲料使用時の9.7±1.6km/時-1に対し、ピンクの飲料使用時には10.1±1.6km/時-1と有意に上昇(+0.4±0.5km/時-1、同+0.1~0.8km/時-1、P=0.024、Hedge's g=0.25)。ピンクの飲料を用いたマウスリンスにより4.4±5.1%のパフォーマンス向上が認められた。

 さらに快/不快スコアも、透明の飲料使用時の3.4±0.7からピンクの飲料使用時には3.8±0.6へと上昇した(+0.4±0.5、95%CI +0.0~0.7、P=0.046、Hedge's g=0.54)。

 以上から、Brown氏らは「人工甘味料を添加したピンク色の非糖質飲料を用いたマウスリンスは、同じ味で等カロリーの透明な飲料使用時と比べランニングの距離や速度、快/不快スコアを向上させる」と結論。さらに「今後は研究を重ね、飲料の色や糖質の量とヒトの運動時における生理心理学的現象との関連を明らかにする必要がある」と付言している。

(比企野綾子)