米・Duke UniversityのW. Schuyler Jones氏らは、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)患者1万5,000例超を対象に、アスピリンの低用量(81mg/日)投与と高用量(325mg/日)投与の有効性と安全性を検討する非盲検実用的ランダム化比較試験を実施。その結果、心血管イベントおよび大出血のリスクに関して両群で有意差がなく、長期アドヒアランスは低用量群で良好だったとN Engl J Med2021年5月15日オンライン版)に発表した。

81mg/日と325mg/日で有効性、安全性に差なし

 同試験では、ASCVD患者1万5,076例(年齢中央値67.6歳、男性68.7%)を登録し、アスピリン低用量群(81mg/日、7,540例)と高用量群(325mg/日、7,536例)に1:1でランダムに割り付け、中央値で26.2カ月〔四分位範囲(IQR)19.0~34.9カ月〕追跡した。

 有効性の主要評価項目は全死亡、心筋梗塞による入院、脳卒中による入院の複合心血管イベントとした。安全性の主要評価項目は大出血による入院とした。

 解析の結果、アスピリン使用歴に関する情報が得られた患者の96.0%に相当する1万3,537例がランダム化以前にアスピリンを使用しており、そのうち85.3%は81mg/日の用量で使用していた。

 有効性の主要評価項目の発生は、高用量群の569例(推定発生率7.51%)に対し低用量群では590例(同7.28%)と有意差が認められなかった〔ハザード比(HR)1.02、95%CI 0.91~1.14、P=0.75〕。

 安全性の主要評価項目の発生に関しても、高用量群の44例(推定発生率0.60%)に対し低用量群では53例(同0.63%)と有意差がなかった(HR 1.18、95%CI 0.79~1.77、P=0.41)。

高用量群は11.1%が使用中止、41.6%が低用量へ変更

 一方、高用量群は低用量群に比べてアスピリンの使用中止率が高く(11.1% vs. 7.0%)、用量変更の発生率も高かった(41.6% vs. 7.1%)。また、高用量群は低用量群に比べて割り付けられた用量への曝露期間(中央値)が短かった〔434日(IQR 139~737日) vs. 650日(同415~922日)〕。

 以上を踏まえ、Jones氏らは「ASCVD患者のアスピリン使用に関して、低用量群と高用量群で心血管イベントおよび大出血の発生リスクに有意差はなかった。一方、高用量から低用量への変更が極めて多く、長期アドヒアランスは低用量群の方が良好だった」と結論。用量変更の理由について、「患者の意思〔試験開始前の用量(85.3%が81mg/日)への復帰希望など〕、診療方針(欧州心臓病学会のガイドラインでは低用量を推奨など)、外傷や出血、併発疾患など、さまざまな可能性がある」と考察している。

(太田敦子)