政府は夏の東京五輪・パラリンピックの新型コロナウイルス対策として、取材のため来日した海外メディア関係者が行動制限に違反した場合、強制的に国外退去させることを検討している。感染拡大を懸念する国内世論を意識したものだが、実効性を疑問視する声は根強い。
 海外メディア関係者について、政府は入国時の水際対策として、宿泊場所や移動手段に関する制限を順守する誓約書の提出を求める方針。滞在中は電話などで行動を確認する計画だ。
 違反者に対しては、出入国管理法に基づく在留資格の取り消しなどを想定。菅義偉首相は14日の記者会見で「強制的に退去を命じることも検討している」と明らかにした。
 ただ、政府関係者は「強制退去のハードルは高い」と指摘する。出入国管理法では、在留資格の取り消し後、即時の国外退去は難しいとみているためだ。
 既に実施中の水際対策でも、入国者の誓約違反が続出。厚生労働省によると、所在確認できないケースは1日当たり100人程度に上るという。実際に強制退去を行った例もない。
 海外メディア関係者にワクチン接種を義務付けるなど、入国制限をさらに強める案もあるが、政府関係者は「報道が少なくなると五輪自体が盛り上がらない」と危惧する。
 加藤勝信官房長官は17日の会見で「海外メディア、大会関係者は五輪を目的に来日するので、参加資格が剥奪されることは抑止力として高い」と強調。違反の有無は「出入国在留管理庁で調査、判断する」と説明した。
 もっとも、実際に退去を命じれば、海外から批判を浴びる可能性がある。政権幹部は「国外退去を命じれば五輪の悪評につながりかねない。報道の自由との関係でも問題だ」と疑問を呈した。 (C)時事通信社