カスタマイズした心臓リハビリテーション(心リハ)の早期実施が、急性非代償性心不全(ADHF)で入院した高齢患者の身体機能改善に有効であることが分かった。米・Wake Forest School of MedicineのDalane W. Kitzman氏らは、ADHF入院患者を対象にフレイル高齢者用心リハプログラムの安全性と有効性を検討した多施設ランダム化比較試験(RCT)REHAB-HFの結果を米国心臓病学会(ACC.21、5月15~17日、ウェブ開催)で発表した。詳細はN Engl J Med2021年5月16日オンライン版)に同時掲載された。

体力、バランス、可動性、持久力に介入

 高齢心不全患者では加齢と慢性心不全により既に低下している身体機能が入院と安静によってさらに低下し、退院後も身体機能低下が継続すると考えられる。Kitzman氏らは、フレイル状態の高齢者用にカスタマイズし、身体機能の4領域(体力、バランス、可動性、持久力)に介入する心リハプログラムを開発。高齢ADHF入院患者を対象に、カスタム心リハプログラムの安全性と有効性を標準的な心リハと比較、検討した。心リハは、入院後6週間まで待たずに入院中または入院直後から開始、退院後は外来で週3回、12週間実施し、その後は自宅での運動に移行した。

 主要評価項目は、心リハ開始後3カ月時点のShort Physical Performance Battery(SPPB:0~12点、点数が低いほど身体機能が低下)スコア。副次評価項目は、6カ月時点の全再入院率とした。

 ADHFで入院した患者349例(平均年齢72.7歳、女性52%)を心リハ(介入)群(175例)と標準治療(対照)群(174例)にランダムに1:1で割り付けた。対象の97%がフレイルまたはプレフレイルで、併存症は平均5つ(高血圧、糖尿病、肥満、肺疾患、腎疾患)、53%が左室駆出率(LVEF)の保たれた心不全(HFpEF)だった。介入群の参加継続率は82%、完遂した心リハ回数は平均24.3回、心リハ実施率は67%だった。

 心リハの主な目的は歩行時間(持久力)の改善で、歩行時間は初回の平均10.7分から最終回には22.0分に倍増した。

3カ月時の身体機能を有意に改善

 3カ月時の調整後SPPBスコアの最小二乗平均値は、介入群が8.3点、対照群が6.9点(平均群間差1.5点、95%CI 0.9~2.0点、P<0.001)で、3カ月時のバランススコア(それぞれ3.2点、2.9点、平均群間差0.4点、95%CI 0.1~0.6点)、4メートル歩行スコア(同3.0点、2.5点、0.5点、0.2~0.7点)、椅子立ち上がりスコア(同2.1点、1.5点、 0.6点、0.4~0.9点)の全てにおいて介入群で改善が認められた。

 3カ月時の6分間歩行距離(介入群293m、対照群260m 、P=0.007)、歩行速度(0.8 m/秒、0.68m/秒、P<0.05)、Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire (KCCQ)スコア(69単位、62単位、P=0.007)、modified Fried criteriaによるフレイル状態(1.4項目、1.6項目、P=0.028)、高齢者用うつ尺度(3.3点、 4.1点、P=0.013)も、介入群で有意に改善していた。

再入院、全死亡は改善せず

 6カ月時の再入院率は介入群1.18%、対照群1.28%〔率比(RR)0.93、95%CI 0.66 ~1.19〕、全死亡はそれぞれ21例(心血管死15例)、16例(同8例)、全死亡率は0.13 %、0.10%(RR 1.17、95%CI 0.61 ~2.27)で、再入院と全死亡については介入による改善が認められなかった。

 以上から、Kitzman氏は「REHAB-HFの心リハプログラムは従来の理学療法や心リハと比べて、高齢でフレイル状態のADHF入院患者の3カ月時の身体機能を有意に改善した」と結論。さらに「同プログラムは、3カ月時のフレイル、うつ病も改善した。ただし、6カ月後の再入院と全死亡に改善は見られなかった」と述べた。同氏らは、HFpEFなど特定のサブグループでより効果が見られるかどうかを解析しているという。

(大江 円)