【ニューデリー時事】新型コロナウイルス対策が後手に回り苦しむインド政府が、インターネット交流サイト(SNS)各社に対し、「インド変異株」という言葉を含む全投稿を削除するよう命じた。モディ政権は今年に入り、問題があると見なした投稿の削除を運営事業者に義務付ける規制強化を実施。コロナ禍での政権批判が一時削除された例もある。
 ロイター通信など複数の報道機関は、インド政府が21日、SNS運営各社に投稿削除を要求する書簡を送ったと報道。ロイターが入手した書簡によれば、政府は「インド変異株」という呼称に関し「世界保健機関(WHO)が科学的に定義したものではない。完全に誤りだ」と批判した。
 コロナの変異株については、発見場所の名前を冠することが専門家の間で通例となっている。ロイターは「投稿を全て削除するのは難しい。特定の言葉に基づく検閲を助長する恐れがある」というSNS運営会社幹部の懸念を伝えた。
 インド政府は今年2月、SNSやネットメディアへの新たな規制を発表。「インドの主権や領土の一体性、安全を脅かす」と判断した投稿に関し、政府が削除や発信者情報開示を命じられるようになった。事業者が違反すれば罰則が科される可能性がある。
 インドでは3月中旬からのコロナ感染「第2波」で、病床や医療用酸素が不足し、患者が十分に治療を受けられない「医療崩壊」が発生。政権への批判が高まっている。
 SNSでは「モディ氏は辞任を」というハッシュタグ(検索用の目印)が広まったが、4月下旬、フェイスブックでこのハッシュタグが付いた投稿が削除される事態が発生。フェイスブック社は「不注意なミス」が原因として、政府の検閲に屈したとの見方を否定、投稿を復活させたものの、背景に政権の圧力があったとの臆測が広がった。 (C)時事通信社