24日にスタートした自衛隊による新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け大規模接種。菅義偉首相は、7月末までの高齢者全員の接種完了に向け、1日100万回の接種目標を掲げている。大規模接種センターの稼働で、遅れが目立つ接種作業をてこ入れし、局面打開を狙う。ただ、首相の思惑通りに進むかどうか疑問視する声もある。
 「自衛隊らしく整然と接種が行われている現場を見てほっとした」。首相は24日、自衛隊の東京会場視察後、記者団にこう強調。自ら自衛隊活用を指示した経緯もあり、開設に安堵(あんど)の表情を見せた。接種加速化に向け「内閣を挙げて取り組む」と決意も示した。
 7月末の接種完了をにらみ、首相が打ち上げた目標は1日100万回接種。「積み上げた数字ではない」(政府筋)といい、高い目標を公言することで、接種の加速化を狙ったものとみられる。
 21日時点の1日の接種回数は、医療従事者と高齢者を合わせて約41万回。政府は自衛隊会場に加え、大規模接種会場を独自に設置する自治体に財政支援するなどして、目標を達成したい考え。
 しかし、初日の自衛隊による接種は最大で7500回。徐々に回数を増やし、31日からは最大1万5000回に増やすが、1日100万回の達成は容易ではなく、政府・与党からは疑問の声も上がる。
 自民党中堅は「できないことは言ってはいけない」と批判。別の同党中堅も「予約の電話がつながらない人がどれだけいると思っているのか」と、現実離れした発言に不満を示す。政府内からも「打つ手がない政権が自衛隊を使ってアピールしているだけだ」と厳しい声が漏れる。
 一方、地方の打ち手不足も課題だ。首相は「救急救命士とか現実的に接種している団体と最終的な打ち合わせをしている。打ち手不足のところに派遣できるよう取り組む」と記者団に語った。これに先立ち、首相は日本薬剤師連盟の山本信夫会長と面会し、接種への協力を要請。山本氏は「最大限の協力をさせていただく」と応じた。 (C)時事通信社