多枝病変を有するST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の非梗塞責任血管に対する冠血流予備量比(FFR)ガイドによる経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、血管造影ガイドによるPCIに比べて有意な有益性は認められなかった。フランス・Hôpital Européen Georges PompidouのEtienne Puymirat氏らが、STEMI・多枝病変患者を対象とした多施設共同ランダム化比較試験(RCT)FLOWER-MIの結果を、米国心臓病学会2021(ACC.21、5月15~17日、ウェブ開催)で発表。詳細はN Engl J Med2021年5月16日オンライン版)に同時掲載された。

最適なガイド法はFFRか血管造影か

 非ST上昇型の慢性/急性冠動脈疾患では血管造影ガイドPCIに比べてPCI施行中にFFRで冠動脈病変の機能的重症度を評価するFFRガイドPCIの方が、重篤な心血管疾患リスクを低下させる。また、多枝病変を有するSTEMI患者では、梗塞非責任血管へのPCIを追加する完全血行再建が、責任血管単独血行再建よりも優れている。ただし、完全血行再建のガイド法として、FFRと血管造影のどちらがより優れているかは不明だった。

 FLOWER-MIの対象は、2016年12月~18年12月にフランスの41施設で梗塞関連動脈のPCIに成功した18歳以上の多枝病変を有するSTEMI患者のうち、1カ所以上の非梗塞責任血管(目視で50%以上狭窄)に対するPCIの適応と判断された1,171例(平均年齢63歳、男性83%)。同一入院中(PCI後5日以内)に、血管造影ガイド群(581例)またはFFR(0.8以下)ガイド群(590例)に、1:1でランダムに割り付けた。心原性ショック、冠動脈バイパス術既往歴、冠動脈石灰化、慢性完全閉塞などは除外した。

 主要評価項目は、1年後の全死亡、非致死的MIまたは緊急血行再建術による入院の複合とした。

1年後の主要心血管イベント発生率は5.5% vs. 4.2%

 Intention-to-treat(ITT)解析の対象は血管造影ガイド群577例とFFRガイド群586例。段階的完全血行再建が95%に行われ、初回と2回目の手技の間隔はそれぞれ2.7±3.3日、2.6±1日だった。

 非責任血管へのPCIは、FFRガイド群の388例(66.2%)と血管造影ガイド群の560例(97.1%)に施行され、留置されたステント数(患者1人当たり)は、それぞれ1.01±0.99、1.50±0.86。薬剤溶出ステントが全体の99%に使用された。

 主要評価項目イベントは、FFRガイド群586例中32例(5.5%)、血管造影ガイド群577例中24例(4.2%)で発生した〔ハザード比(HR)1.32、95%CI 0.78〜2.23、P = 0.31〕。死亡はFFRガイド群で9例(1.5%)、血管造影ガイド群で10例(1.7%)、非致死的MIはそれぞれ18例(3.1%)と10例(1.7%)、緊急血行再建術による入院は15例(2.6%)と11例(1.9%)で発生した。いずれも両群に有意差は認められなかった。

結果の解釈は不能

 以上の結果から、Puymirat氏らは「多枝病変を有するSTEMI患者への完全血行再建では、血管造影ガイドに比べFFRガイドによる非責任血管治療戦略は、1年後の死亡、MIまたは緊急血行再建術のリスクについて有益性は示されなかった」と結論。「ただし、主要評価項目のHRの95%CIは0.78〜2.23と広く、これはFFRガイドPCIによる相対的リスクの22%低下または123%上昇に当たるため、最終的な結果の解釈は不可能だ」と指摘している。

  • Flow Evaluation to Guide Revascularization in Multivessel ST-Elevation Myocardial Infarction

(坂田真子)