血管内超音波照射による腎デナベーション(腎神経焼灼術:RDN)が、治療抵抗性高血圧患者で有意な降圧を示すことが初めて明らかになった。2カ月と短期の追跡ではあるが、シャム群を対照に設置、自由行動下血圧測定(ABPM)を用いて検討した多施設単盲検ランダム化試験RADIANCE-HTN TRIOで判明したもので、結果は米・Columbia University Irving Medical CenterのAjay J. Kirtane氏らが、米国心臓病学会(ACC.21、5月15~17日、ウェブ開催)で発表。Lancet2021年5月16日オンライン版)に同時掲載された。

3種配合薬服用下でシャム群と比較

 高周波や超音波を用いる血管内RDNが、軽症~中等症高血圧患者においてシャム対照で降圧効果を示すことは、Kirtane氏らが薬剤投与を中止した患者を対象に行ったRADIANCE-HTN SOLO試験(Lancet 2018; 391: 2335-2345)をはじめ複数の報告があるが、治療抵抗性高血圧患者で降圧効果を明確に示したものはない。そこで、治療抵抗性高血圧患者を対象に、超音波RDNの有効性と安全性を評価するRADIANCE-HTN TRIOを実施した。

 今回用いられたParadiseTM System(米・ReCor Medical社)は、腎動脈内腔で拡張したバルーン内の灌流水で血管壁を冷却保護しながら、超音波を照射して腎動脈周囲の腎神経を同心円状に焼灼、腎交感神経系を抑制するというもので、欧州では既に認可されている。

 対象は①利尿薬を含む3種類以上の降圧薬服用下で坐位診察室血圧(OBP)140/90 mmHg以上②18~75歳③推算糸球体濾過量(eGFR)40mL/分/1.73m2以上─などの条件を満たす治療抵抗性高血圧患者で、欧米53施設から989例を登録した。

 降圧薬を1日1回服用のCa拮抗薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、サイアザイド系利尿薬の3種配合薬1錠に変更。4週間後に昼間自由行動下血圧(ABP)135/85mmHg以上で、CTまたはMR血管造影により腎動脈解剖学的に適切と判定された136例を、超音波RDNを施行するRDN群(69例)とシャム群(67例)に1:1でランダムに割り付け、患者と外来評価者は盲検下で追跡。ベースラインと2カ月後にアドヒアランスを尿検査で確認した。

 両群のベースライン(スクリーニング)時の背景因子は同様であった(OBP:RDN群161.9/105.1mmHg、シャム群163.6/103.3mmHg、降圧薬服用数:それぞれ4.0剤、3.9剤、アルドステロン拮抗薬併用:36%、31%)。

2カ月後自由行動下昼間SBPの下降4.5mmHg大

 2カ月後に尿検査で配合薬の完全なアドヒアランスが認められた割合は、両群とも82%で、RDN群の93%、シャム群の85%は2カ月後まで治療薬の変更がなかった。

 ABPMによる昼間収縮期血圧(SBP)の推移を見ると、RDN群ではランダム化時の150.0±11.9mmHgから2カ月後には141.0±16.1mmHgへ、シャム群では151.1±12.6mmHgから146.3±18.8mmHgへと下降した。

 主要評価項目のintention-to-treat解析による2カ月後のABPMによる昼間SBPの変化は、中央値でRDN群-8.0mmHg〔四分位範囲(IQR)-16.4~0.0mmHg〕、シャム群-3.0mmHg(同-10.3~1.8mmHg)と、RDN群で4.5mmHgの有意な降圧増強を示した(未調整中央値群間差-4.5mmHg、95%CI-8.5~-0.3mmHg、 ベースライン調整P=0.022)。

 その他の指標によるSBPの変化も、24時間ABP(-4.2mmHg)、夜間ABP(-3.9mmHg)、OBP(-7.0mmHg)などとRDN群の降圧効果が有意に優れ、24時間日内変動を通してRDN群で大きなSBP降圧効果が認められた。

 主要評価項目のサブグループ解析では、性、民族、年齢、腹囲、ベースラインの血圧にかかわらず、RDNが一貫した効果を示すことが確認された。

 安全性については、RDN後30日以内に生じた手技関連の主要有害事象として穿刺部仮性動脈瘤が1件生じたが、治療に成功した。2カ月後の両群のeGFRは同等で、新たな50%以上の腎動脈狭窄はなかった。

長期追跡でRDNの真価を検証

 試験の限界として、Kirtane氏らは①超音波RDNによる長期の降圧効果と安全性は不明②RDNへの反応の確実な予測因子や、除神経が成功したかを手技中に確認するマーカーがない─などを指摘。その上で、「今回の結果は、RADIANCE-HTN SOLO試験の成績と合致しており、カテーテルベースの超音波RDNが、軽症・中等症からより重症まで、幅広い高血圧患者に降圧効果をもたらすことを示唆している」との見解を示した。

 RADIANCE-HTN TRIO試験では3年間(盲検は6カ月)の追跡を予定している。同氏は「追跡によって、ガイドラインに従い第4の降圧薬として両群にスピロノラクトンを投与する間に、RDNがさらなる追加薬の代替となりうるかが決まるだろう。他の試験とともに、多様な高血圧患者における超音波RDNの効果持続性や安全性、長期の臨床上のインパクトの評価に重要な知見をもたらすだろう」と結んだ。

 ただし、日韓で治療抵抗性高血圧患者を対象に実施されたシャム対照盲検試験REQUIREでは、同システムを用いたRDNは主要評価項目を達成しなかったという。

配合薬は①アムロジピン10mg(重度下肢浮腫がある場合5mg)②バルサルタン160mg(または各国の承認状況によりオルメサルタン40mg)③ヒドロクロロチアジド25mg─を含有。慢性冠症候群、心不全合併例へのβ遮断薬使用は認めたが、事前に設定され基準値(OBP 180/110mmHgなど)を超えた場合を除き、配合薬を維持するとした

(杉田清美)