【ワシントン時事】新型コロナウイルス流行に伴うデジタル化の進展や車載用の不足を受けて、主要国・地域が半導体産業への投資を強化している。米国と中国は経済安全保障の観点から先端技術の覇権を争い、半導体の量産技術に強みのある台湾や韓国メーカーの誘致合戦を展開。日本も「日の丸半導体」の再興に向けて本腰を入れ始めた。
 「半導体は死活的に重要だ。異次元のものをやらなければならない」。安倍晋三前首相は21日、自民党の半導体戦略推進議員連盟の最高顧問として大胆な投資を訴えた。日本の半導体産業は1980年代に全盛期を迎えたが、現在は6割超を台湾や中国などからの輸入に頼る。議連は、対中国で重要性が増す日米台の連携も視野に入れた国家戦略の策定を見据える。
 半導体はスマートフォンや電気自動車(EV)、戦闘機と用途が幅広く、国際競争力を左右する重要物資だ。バイデン米政権は半導体サプライチェーン(供給網)の「脱中国依存」を目指しており、米議会が520億ドル(約5兆6500億円)の支援策を審議中。欧州連合(EU)も半導体生産の市場シェアを倍増させる戦略を打ち出した。
 主要国が半導体の国産化を急ぐのは、世界の生産の約75%が集中する東アジアで「台湾有事」のリスクが高まっているためだ。米中は供給網の寸断を警戒し、最先端品の量産で「2強」と目される台湾積体電路製造(TSMC)と韓国サムスン電子の誘致を競う。サムスンなど韓国勢は21日の米韓首脳会談に合わせて、計394億ドルの対米投資を表明した。
 中国も巨額の補助金で国産半導体の育成を急いでおり、同国の生産シェアは2030年に世界最大になるとの予測もある。日本の電子情報技術産業協会(JEITA)は「あと10年程度で日本から半導体産業が消えてしまう」と強い危機感を示し、政府に大規模な財政支援を訴えている。 (C)時事通信社