米国が新型コロナウイルス感染状況を理由に、日本への渡航中止を勧告した。開幕まで2カ月を切った東京五輪・パラリンピックの中止論が一段と高まることも考えられ、菅政権は懸念払拭(ふっしょく)に躍起だ。渡航中止の動きが各国に広がることも警戒している。
 米国務省は24日、各国の渡航情報を見直し、日本の危険度を最も高いレベル4「渡航してはならない」に引き上げた。加藤勝信官房長官は25日の記者会見で「米国からは今回の判断と選手団派遣は関連していないとの説明を受けている」と述べ、開催に影響はないと強調した。
 加藤氏と同様に、丸川珠代五輪担当相も会見で「(五輪への)影響は特に今のところ見込まれることはない」と語り、政府高官は「選手は別スキームだ」と指摘した。
 政府関係者がそろって影響を否定するのは、米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)が声明で、米選手団の参加に前向きな姿勢を示していると報じられていることもある。
 ただ、海外が日本に向ける厳しい視線は、米国に限らない。加藤氏は会見で日本への渡航中止を勧告しているのは、米国のほかオーストラリア、ニュージーランド、ベトナム、ラオスがあると明らかにした。日本国内の感染状況が改善しなければさらに広がる可能性もある。
 加藤氏らが火消しに走る中、政府関係者の一人は「感染を抑え込めないと米国が五輪に来ない可能性も出てきた」と語る。日本との往来にブレーキをかける動きが海外で出てもなお五輪開催に突き進めば、中止・延期を求める世論に背を向けているとの印象を強めかねない。
 立憲民主党の安住淳国対委員長は党会合で、米疾病対策センター(CDC)が日本にはワクチン接種を終えた人でも変異ウイルス感染のリスクがあると指摘したことに触れ、「でもそこで開かれる五輪は大丈夫ですというのは理解できない」と語り、政府の姿勢に疑問を呈した。
 共産党の小池晃書記局長はツイッターに「渡航中止の国で五輪は開催できないし、すべきではない」と投稿。国民民主党の玉木雄一郎代表は党会合で「五輪が安全安心にできるか、きちんと検証することを強く求めたい」と語った。 (C)時事通信社