米国の40施設で実施された第Ⅱ相二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)で、抗インターロイキン(IL)-6抗体薬のziltivekimabがアテローム性動脈硬化症に有効性を示した。ziltivekimab群では、高感度C反応性蛋白(hsCRP)をはじめ、アテローム性動脈硬化に伴う炎症・血栓症に関わるバイオマーカーが著明に低下。同疾患の将来的な治療に抗炎症療法が加わる可能性が示唆された。米・Brigham and Women's HospitalのPaul M. Ridker氏が米国心臓病学会(ACC.21、5月15~17日、ウェブ開催)で発表。詳細がLancet2021年5月17日オンライン版)に同時掲載された。

ziltivekimabはIL-6リガンドを直接阻害

 IL-6は、アテローム性血栓の形成における重要因子として注目されている。しかし、全身性炎症を呈していない動脈硬化の高リスク患者におけるIL-6阻害の安全性と有効性は確立されていない。

 ziltivekimabは、IL-6リガンドを直接阻害する完全ヒトモノクローナル抗体で、IL-6受容体阻害薬と比べ低用量で効果が期待でき、脂質レベルや血液学的指標、肝機能への影響が小さい可能性がある。

 今回発表されたRESCUE試験では、中等度~重度の慢性腎臓病(CKD)で、hsCRPが2mg/L以上の成人患者をziltivekimabの3用量(7.5mg、15mg、30mg/4週ごと)群およびプラセボ群に等しくランダムに割り付け、24週間治療した。主要評価項目は、12週後のhsCRPのベースラインからの変化率とし、intention-to-treat解析を行った。また、他のバイオマーカーの変化と安全性に関するデータも収集した。安全性は、治療を1回以上受けた患者全例を対象に評価した。

コレステロールへの影響はなし

 2019年6月~20年1月に米国の40施設において264例を登録し、66例ずつ4群に割り付けた。その後12週におけるhsCRP中央値の低下率は、ziltivekimab 7.5mg群、15mg群、30mg群の順に、それぞれ、77%、88%、92%で、プラセボ群では4%であった。

 ziltivekimab各群におけるプラセボ群と比べたhsCRP変化率の中央値は、7.5mg群が-66.2%、15mg群が-77.7%、30mg群が-87.8%であった(いずれもP<0.0001、Wilcoxon二標本検定)。有効性は24週間を通じて安定していた。

 また、ziltivekimab群では、フィブリノーゲン、血清アミロイドA、ハプトグロビン、分泌性ホスホリパーゼA2、リポ蛋白(a)が用量依存性に低下した。

 ziltivekimabの忍容性は高く、総コレステロール/HDLコレステロール比への影響はなく、重度の注射部位反応や、グレード3、4の持続性好中球減少症、血小板減少症も認められなかった。

 Ridker氏らは「ziltivekimabは、アテローム性動脈硬化症に関連する炎症・血栓症のバイオマーカーを著明に低下させた」と結論。「これらのデータに基づいて、CKD、hsCRP高値、心血管疾患既往を有する患者において、ziltivekimabの有効性を検討する大規模な心血管アウトカム試験が実施されるだろう」と付け加えている。

(小路浩史)