心房細動(AF)患者において、心臓手術と同時に施行する左心耳閉鎖術が脳梗塞予防に有効であることは幾つかの研究で示されているが、ランダム化比較試験による検証は行われていない。カナダ・McMaster UniversityのRichard P. Whitlock氏らは、心臓手術予定のAF患者を対象とした左心耳閉鎖術に関する多施設共同ランダム化比較試験(LAAOS III)を実施。心臓手術と同時に左心耳閉鎖術を受けたAF患者では虚血性脳卒中または全身性塞栓症の発生リスクが3割低下したことを、N Engl J Med2021年5月15日オンライン版)に発表した。

CHA2DS2-VAScスコア2以上の心房細動患者4,811例を対象

 対象は、2012年7月~18年10月に、27カ国105医療機関で登録した、CHA2DS2-VAScスコア2以上で心臓手術予定のAF患者4,811例。心臓手術と同時に左心耳閉鎖術を受ける2,400例と左心耳閉鎖術を受けない2,411例にランダムに割り付け、虚血性脳卒中または全身性塞栓症の発生を主要評価項目として比較検討した。

 なお、追跡期間中、経口抗凝固療法を含む通常のケアは継続した。

イベント発生は左心耳閉鎖術施行群4.8%、非施行群7.0%

 データ安全性監視委員会により、2回目の有効性中間解析後の2021年1月28日に試験中止、結果報告が推奨され、平均追跡期間は3.8年であった。

 解析対象は閉鎖術施行群2,379例、非施行群2,391例、平均年齢71歳、平均CHA2DS2-VAScスコア4.2だった。

 虚血性脳卒中または全身性塞栓症の発生は、非施行群の168例(7.0%)に対し、閉鎖術施行群では114例(4.8%)と有意に少なかった、(ハザード比0.67、95%CI 0.53〜0.85、P=0.001)。

 手術中の出血、心不全、死亡の発生率に両群で有意差はなかった。術後早期または長期追跡中に心不全による入院の増加は見られなかった。

左心耳閉鎖は抗凝固療法に相加的効果

 以上から、多くが抗凝固療法を継続する心臓手術予定のAF患者において、心臓手術と同時施行する左心耳閉鎖術は、虚血性脳卒中または全身性塞栓症の複合転帰のリスクを33%低下させることが示された。

 Whitlock氏らは「経口抗凝固療法はAF患者の脳梗塞予防に有用だが、長期の服用を要する、出血リスク、服薬アドヒアランスなどの問題がある。左心耳の外科的閉鎖は、経口抗凝固療法とは異なるメカニズムにより脳卒中リスクを軽減することから、経口抗凝固療法に相加的な効果をもたらすと考えられる」と説明。「われわれの研究は、左心耳の外科的閉鎖を抗凝固療法に追加すると、脳卒中に対しさらなる保護効果があることを示している」と述べている。

(宇佐美陽子)