【ワシントン時事】新型コロナウイルスの起源をめぐり、動物由来の自然発生ではなく中国の武漢ウイルス研究所から流出したとする議論が、米国で再燃し始めた。バイデン大統領は26日に声明を発表し、情報機関に追加調査を指示。疑いが強まれば中国に直接ただす構えで、米中の新たな対立の火種となる恐れもある。
 バイデン氏は声明で、3月にコロナの起源について「動物との接触か、それとも研究室の事故か」どうか調べる任務を情報機関に課したと説明。受け取った報告は最終結論に達しておらず、中国に問うべき「具体的疑問点」を含め90日以内に改めて報告するよう求めたと明かした。
 研究所流出説は、トランプ前大統領が指摘するなど当初からくすぶっていたが、科学者団体は「陰謀論」と一蹴していた。世界保健機関(WHO)も3月に公表した報告書で「可能性は極めて低い」と結論付けた。
 だが、米紙ニューヨーク・タイムズによると、2週間前に情報機関から報告を受けたバイデン氏は声明発表を決断。中国がWHOの追加調査を拒否する姿勢を示したことも、バイデン氏を後押ししたという。
 米メディアは今月23日、コロナ感染者が初確認される1カ月前の2019年11月に、武漢研究所の研究者3人が体調を崩し、病院で治療を受けたとする情報機関報告の内容を報道。研究所流出説を否定し続けてきた感染症の権威ファウチ国立アレルギー感染症研究所長も起源に関し「確証を持てない」と語るなど、動物由来説の前提が揺らぎ始めている。
 バイデン氏は声明で、情報機関のうち二つの部門が動物由来説に、一つが研究所流出説に傾いていると説明し、中立の立場を強調した。中国外務省の趙立堅副報道局長は27日の記者会見で「米国には事実を無視して再調査を繰り返し求める者がいる。米国はコロナを利用して(中国に)汚名を着せようとしている」と反発した。 (C)時事通信社