2型糖尿病治療薬として心血管保護作用が報告されているGLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬。心血管疾患のイベント抑制効果はどちらが勝るのか。福島県立医科大学会津医療センターの畝田一司氏らはシステマチックレビューおよびメタ解析を行い、結果をSci Rep2021; 11: 10166)に報告した。

対象は12件・10万例超のプラセボ対照RCT

 2型糖尿病治療に使用されるGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬は、近年、心血管保護作用に関する報告が相次いでいる。SGLT2阻害薬については昨年(2020)11月、ダパグリフロジンが欧州や日本で左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(HFrEF)患者に対する治療薬として追加承認されたばかり。

 畝田氏らは、両薬剤の糖尿病患者における心血管疾患イベント抑制効果を検討するため、システマチックレビューおよびメタ解析を行った。対象は今年2月20日時点でMedline、EMBASE、Cochrane Libraryから検索、抽出した4,197件のうち、査読済みのプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)、対象が18歳以上などの条件を満たした12件(10万2,728例)。

 12件中7件はGLP-1受容体作動薬(リキシセナチド、エキセナチド、リラグルチド、注射および経口のセマグルチド、デュラグルチド、albiglutide)、5件はSGLT2阻害薬(カナグリフロジン、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、elrutugliflozin)に関するRCT。カナグリフロジンのCREDENCE試験を除き、いずれも主要評価項目は主要心血管イベント(MACE:心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合)で、「肥満」のカットオフ値は12件中11件がBMI 30、残る1件はBMI 32であった。

GLP-1受容体作動薬でMACEリスク低下、間接比較では有意差なし

 メタ解析により、プラセボ群に対する両薬剤群のMACE発生リスクを肥満の有無別に検討した。その結果、肥満あり患者においてはGLP-1受容体作動薬群でリスクが有意に低下〔リスク比(RR)0.88、95%CI 0.81〜0.96〕し、SGLT2阻害薬群では低下傾向が見られた(同 0.91、0.83〜1.00)。両薬剤群の間接比較では有意差は認められなかった(同 0.97、0.85〜1.09、I2=45%、P=0.14)。肥満なしの患者においても同様の結果であった。

 今回の結果から、畝田氏らは「特に、肥満が認められる糖尿病患者におけるMACE発生リスクは、プラセボに比べGLP-1受容体作動薬で低下し、SGLT2阻害薬では減少傾向が示された。しかし、両薬剤間で有意差は認められなかった」と結論。今後は両者の優劣性を検証する試験が必要との見解を示している。

松浦庸夫