新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、期限が延長される緊急事態宣言。対象地域での新規感染者の減少ペースが鈍いのは、感染力が従来株の約1.3倍とされる英国型変異株の影響が大きい。専門家は今後、さらに感染力が強いとみられるインド型に置き換わる可能性が高いとして、監視体制の強化などを求めている。
 国立感染症研究所によると、全国で従来株の9割以上が英国型などに置き換わった。厚生労働省の専門家組織は26日、これにより「新規感染者数減まで、以前よりも長い期間を要している」との分析を公表。英国型は重症化リスクが従来株の1.4倍とされ、重症者数の増加が続く。同組織メンバーの舘田一博・東邦大教授(感染症学)は「この1カ月間で変異株が全国にまん延した。その中での緊急事態宣言だったため、影響を強く受けてしまった」と指摘する。
 インド型の重症化リスクが従来株より高い証拠はないが、感染力は2倍ほど強いとされる。主な変異は「L452R」と「E484Q」。ウイルスが細胞に侵入する際に用いるスパイクタンパクの変異を意味し、それぞれ、452番目のアミノ酸がロイシンからアルギニンに、484番目がグルタミン酸からグルタミンに変化した。感染力が強い要因はL452R変異とされるが、不明な部分も多い。
 感染研などによると、インド型感染者は24日までに国内で45人、検疫で190人確認され、東京都ではクラスター(感染者集団)も発生した。専門家組織座長の脇田隆字・感染研所長は、現時点での市中感染の広がりには否定的な一方、感染力の高さを理由に「時期の予測は難しいが、英国型から置き換わる可能性はかなり高い」と分析。全遺伝情報(ゲノム)解析を通じた全国的な監視体制を強めるなど、早急な対応を求めた。 (C)時事通信社