【ロンドン時事】ジョンソン英首相の最側近だった元官邸上級顧問ドミニク・カミングス氏が「ジョンソン氏は首相にふさわしくない」と告発した問題が、政権を揺るがしている。野党は政府の新型コロナウイルス対応の早期検証を要求。政権は厳しい逆風にさらされている。
 カミングス氏は26日の議会で約7時間にわたって議員の質問に答え、首相官邸のコロナ対応の混乱ぶりを暴露した。具体例の一つは、感染が急拡大していた昨年3月12日の動きだ。首相の交際相手キャリー・サイモンズさんが飼い犬をめぐる報道に「激怒」し、官邸はその対応に追われるなどしていたと明かし、「あまりに現実離れしていて、真実と思われないだろう」と突き放した。
 かつての懐刀の告発に首相は「一部のコメントは現実とは全く関係ない」と事実関係を否定。カミングス氏から「国民に何度もうそをついた」とこき下ろされたハンコック保健相も「公の場でも私的な場でも正直であり続けてきた」と反論に追われた。
 カミングス氏は昨年11月に首相らとの確執が原因で辞任した。今回の証言はその意趣返しとの見方が強い。ただ、欧州最悪の約12万8000人の死者を出した英国で、政権中枢にいた人物による政権批判が政界に与えた衝撃は当分収まりそうにない。
 最大野党・労働党は「政府の意思決定の混乱と無能が示された」(スターマー党首)と攻勢を強める。政府は来年以降にコロナ対応の検証を行う方針だが、前倒しを求める声も広がっている。
 首相はコロナ対応に失敗したものの、ワクチン普及には成功し、支持率を急回復させた。しかし、カミングス氏は首相の功績とは認めず、ワクチン政策責任者の手腕のおかげだと主張している。 (C)時事通信社