2021年3月期の地方銀行全100行(現在は99行)の決算(単体)が29日までに出そろった。時事通信の集計によると、純利益の合計は前期比2.5%増の6827億円。ただ、新型コロナウイルス禍の収束が見通せない中、取引先の貸し倒れに備えた与信費用の合計は25.6%増の4208億円と、10年ぶりの高水準だった。この結果、半数の50行が減益・赤字となった。
 赤字は5行。東邦銀行(福島市)が20年ぶり、東日本銀行(東京)が2年連続で赤字となったほか、きらやか銀行(山形市)、福島銀行、東京スター銀行が赤字に転落した。全国地方銀行協会の大矢恭好会長はコロナ禍が地銀経営に与える影響について「地域性や取引先企業によって大きさが違う」としつつ、「半数が減益と厳しい状況が続いている」と総括した。
 与信費用をめぐっては、コロナ禍で打撃を受けている業種などを対象に、予防的に引当金を積み増す動きが広がった。東邦銀は与信費用が昨年11月時点の予想から約4倍に増加。沖縄銀行の山城正保頭取は「不動産、宿泊、飲食、小売業の引き当て基準を見直した」と説明した。
 融資などに伴う利益を示す資金利益は0.9%増加した。新型コロナで苦境に陥る中小企業の資金繰りを支える実質無利子・無担保融資に注力した結果、貸出金が増加。低水準の貸し出し利回りを量でカバーした。
 有価証券関係損益は5.2%減少。本業のもうけを示す実質業務純益の合計は2.3%減の1兆2016億円だった。
 22年3月期は44行が減益、中京銀行が赤字転落を予想した。コロナ禍の長期化を背景に、当面は厳しい経営環境が続きそうだ。 (C)時事通信社