米・University of California Irvine, School of Pharmacy & Pharmaceutical SciencesのJonathan H. Watanabe氏らは、カリフォルニア州の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者における各種COVID-19治療薬候補の使用状況を解析し、結果をJAMA Net w Open2021; 4: e2110775)に発表した。昨年(2020年)3月から12月にかけて、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンと抗菌薬アジスロマイシンの使用率が大幅に低下したのとは対照的に、ステロイド系抗炎症薬デキサメタゾンと抗ウイルス薬レムデシビルの使用率が大幅に上昇。一方、抗凝固薬のエノキサパリンとヘパリンがそれぞれ6割、4割程度もの患者に血栓予防・治療を目的に使用されていた。

レムデシビルは使用が12倍に急増

 解析対象は、昨年3月10日~12月31日に同大学の付属病院5カ所で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性と判定された2万2,896例(平均年齢42.4歳、女性53.1%)のうち、COVID-19関連入院患者3,546例(15.5%)。対象におけるデキサメタゾン、レムデシビル、エノキサパリン、ヘパリン、コルヒチン、ステロイド系抗炎症薬ヒドロコルチゾン、インターロイキン(IL)-6受容体モノクローナル抗体トシリズマブ、アジスロマイシン、ヒドロキシクロロキン、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の使用率を検討した。

 1日当たりの新規入院患者における使用割合の主な解析結果を見ると、アジスロマイシンは4月1日から8月1日に45.5%(95%CI 41.9~49.1%)→20.0%(同19.0~21.1%)と大幅に低下。ヒドロキシクロロキンはCOVID-19パンデミック初期には40%超だったが、6月までに5%未満へと激減していた(図1)。

図1. 1日当たりの新規入院患者における薬剤の使用割合(2020年3月~21年1月)

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 一方、デキサメタゾンは3月31日→12月31日に1.4%(95%CI 1.4~1.5%)→67.5%(62.6~72.1%)に大幅に上昇し、レムデシビルも6月1日→12月31日で4.9%(95%CI 4.7%~5.1%)→62.5%(同56.7~68.0%)と57.6ポイント上昇していた。

 エノキサパリンは3月21日の50.4%(45.7~55.2%)以降、これより高い使用率を維持していた。

 ACE阻害薬およびARBは3月31日→12月31日に27.5%(95%CI 25.0~30.2%)→18.5%(同16.1~21.1%)とおよそ10ポイント低下した。トシリズマブおよびコルヒチンは4月15日の使用率がそれぞれ2.4%(95%CI 2.3~2.5%)、2.9%(同2.8~3.0%)で、以降はこれより低い使用率で推移していた。

入院患者全体で一貫してエノキサパリンが最多

 さらに、昨年3月以降の入院患者全体における薬剤の使用割合を解析した(図2)。その結果、ヒドロキシクロロキンの累積使用率は昨年4月には40%超(173例中70例)だったが、7月までに10%未満(974例中97例)へと大幅に低下していた。

図2.入院患者全体における薬剤の使用割合(2020年3月~2021年1月)

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(図1、2ともJAMA Netw Open 2021; 4: e2110775)

 一方、デキサメタゾンの累積使用率を見ると、5月以前は4%(335例中14例)にすぎなかったが、昨年末には40%(3,546例中1,421例)と大幅に上昇していた。エノキサパリン、ヘパリンの累積使用率は、昨年全体を通じてそれぞれ約60%、約40%で安定しており、エノキサパリンは調査薬の中で最多であった。

ヒドロキシクロロキンはRCTで有効性示せず使用激減

 ヒドロキシクロロキンの使用が激減した理由について、Watanabe氏らは「パンデミック初期に行われた小規模研究でヒドロキシクロロキンの使用が支持されたが、その後に行われた大規模ランダム化比較試験(RCT)ではベネフィットが認められなかった」と指摘。一方でレムデシビルの使用が大幅に増加した理由について、「パンデミック初期には主に臨床試験で使用されていたが、緊急使用許可に伴い使用が大幅に増加した可能性がある」と考察している。

 一方、エノキサパリンの使用率は調査期間中安定していたが「COVID-19に関連する血栓の予防および血栓形成傾向の治療という2つの役割を果たすためと考えられる」との見解を示している。

(太田敦子)