【ワシントン時事】マヨルカス米国土安全保障長官が、海外へ渡航する米国人の新型コロナウイルスワクチン接種歴を証明する「ワクチンパスポート」導入の可能性に言及した。コロナ禍で打撃を受けた旅行業界などには導入を期待する声が多いが、「未接種の人への差別につながる」という反発も強く、実現への障壁は大きい。
 「大いに注目している」。メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)の連休を控えた5月28日、マヨルカス氏はABCテレビで、ワクチンパスポートに言及。導入の前提として「誰もがアクセスでき、排除される人がいないこと」を挙げた。
 米国ではワクチン普及を背景に、国内旅行の規制が大幅に緩和され、この連休も大勢が行楽などに繰り出した。一方、海外渡航はワクチン接種を終えていても、到着後の隔離などの制約が依然厳しい。経済界からは米国への出入国を容易にするワクチンパスポートを望む声が上がっている。
 だが、ワクチンパスポートをめぐっては、国際基準はもとより、国内の統一基準がない。導入した場合、接種が遅れている途上国などの国民が米国に入国できず、差別的待遇と受け止められる恐れもある。そもそも連邦政府には、パスポート発給の前提となる国民のワクチン接種状況に関するデータベースがないという問題もある。
 国土安保省当局者は米メディアに対し、連邦政府として導入を予定しているわけではないと指摘。マヨルカス氏の発言について「海外へ渡航する米国民が、迅速かつ容易に他国へ入国できるやり方を探っているという意味だ」と説明した。 (C)時事通信社