新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が再延長された1日、休業の要請や協力依頼が一部緩和された東京や大阪の映画館には、再開を待ちわびた人々が長い列をつくった。「感無量だ」「やっぱり映画はいい」。観客や関係者からは喜びの声が上がったが、「なぜ映画館を休業要請対象としたのか」と改めて疑問を口にする人もいた。
 東京都中央区の「丸の内TOEI」は客席を半分に減らし、検温などの対策を徹底した上で営業を再開した。感染拡大前は毎週映画館を訪れていたという北区の介護士門脇セツさん(71)は、吉永小百合さん主演の作品がお目当て。「きょうから再開なので思い切って来た。久しぶりに映画を見られてうれしい」と笑顔で話した。
 「感無量です。再開できて良かった」。同館の支配人室岡則夫さん(61)は、訪れた大勢の観客を見て涙を浮かべた。ただ、映画館への休業要請には今も納得できない。「電車内の方がよっぽど密なのに。昨年に続いてゴールデンウイークに営業できず、厳しい」と漏らした。
 大阪府内でも多くの映画館が再開したが、面積が1000平方メートル超の大型施設は土日の休業要請が継続される。梅田の映画館を訪れた吹田市の50代女性は「前を向いて静かに見ているので、映画館で感染が広がるかは疑問」と困惑。大阪市の男性会社員(57)も「平日は仕事でなかなか映画を見に行けない。感染対策はきちんとしているのに」と不満げに話した。
 映画館への休業要請をめぐっては、映画界有志のプロジェクト「SAVE the CINEMA」や複数の業界団体が連携し、要請撤回を求めて声を上げてきた。同プロジェクトは多くの映画館が再開したことを受け、1日付で文書を公表。関係者への謝意をつづり、こう結んだ。「映画館で映画を見ること、それが一番のSAVE the CINEMAです」。 (C)時事通信社