米・University of WashingtonのMarissa B. Reitsma氏らは、世界疾病負担研究(GBD)2019の一環として、1990~2019年の204カ国・地域における喫煙の動向を解析した最新の研究結果をLancet2021年5月27日オンライン版)に発表した。世界の喫煙者数は増加を続けており、2019年の喫煙者数は11億4,000万人、喫煙による死亡者数は769万人に上った。また、喫煙者数の上位10カ国には日本も含まれ、この10カ国で世界の喫煙人口の約3分の2を占めていた(関連記事「【動画】世界禁煙週間に届けたい5つのメッセージ」)。

人口増に伴う喫煙者数の増加が喫煙率低下を凌駕

 研究では3,625件の全国調査データを用い、204カ国・地域における15歳以上の喫煙率を算出。解析対象は全ての有煙たばことし、無煙たばこ、非燃焼・加熱式たばこ、電子たばこは除外した。

 解析の結果、2019年の全世界における年齢標準化喫煙率は男性32.7%〔95%不確実性区間(UI)32.3~33.0%〕、女性6.62%(同6.43~6.83%)で、1990年と比べて男性で27.5%(同26.5~28.5%)、女性で37.7%(同35.4~39.9%)それぞれ低下していた。

 しかし、多くの国で喫煙率低下のペースを人口増に伴う喫煙者数増加のペースが上回り、結果として世界の喫煙者数は1990年→2019年で9億9,000万人(95%UI 9億8,000万~10億人)→11億4,000万人(同11億3,000万~11億6,000万人)と大幅に増加した。

 2019年に喫煙者数が最も多かった国は中国で、次いでインド、インドネシア、米国、ロシア、バングラデシュ、日本、トルコ、ベトナム、フィリピンの順だった(。この上位10カ国で世界の喫煙人口の約3分の2を占め、喫煙者の30%が中国に居住していた。

図. 2019年における喫煙者数上位10カ国

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(編集部作成

 2019年の世界におけるたばこ製品の総消費量は、紙巻きたばこ以外を「たばこ葉1g=紙巻きたばこ1本」に換算して合算した「紙巻きたばこ相当本数」で7兆4,100億本(95%UI 7兆1,100億~7兆7,400億本)だった。30歳以上の男性の32.3%、女性の18.5%で1日の喫煙量が20本を超えていた。

89%が25歳までに喫煙を開始

 懸念点として、過半数の国では若年者(15~24歳)の喫煙率が依然として高かった。また、現喫煙者の65.5%が20歳までに、89.0%が25歳までに喫煙を開始しており、思春期~若年成人期における喫煙の開始と常習化を防ぐことの重要性が示された。

喫煙は男性における死亡の危険因子第1位

 2019年の世界の喫煙に関連する死亡者数は769万人(95%UI 716万~820万人)、障害調整生存年数(DALY)は2億(同1億8,500万~2億1,400万)だった。男性では喫煙が死亡の危険因子の第1位で、喫煙に関連する死亡が全死亡の20.2%(同19.3~21.1%)を占めた。

 2019年の喫煙に関連する死亡の原因疾患の第1位は虚血性心疾患(168万人、95%UI 156万~181万人)で、次いで慢性閉塞性肺疾患(同159万人、141万~176万人)、気管・気管支・肺がん(同131万人、120万~143万人)、脳卒中(同93万1,000人、83万3,000~100万人)の順だった。

 また、喫煙に関連する死亡の86.9%を現喫煙者が占め、15年以上前に禁煙した人の割合は6.18%にすぎず、早期禁煙の重要性が浮き彫りになった。

 しかし、多くの国では禁煙支援、たばこ税の引き上げ、たばこ製品の宣伝広告の禁止といった取り組みが不十分であることも判明。Reitsma氏らは「喫煙による疾病負担を軽減するには、エビデンスに基づく包括的なたばこ規制政策の採用・実践・強化がより重要となる」と結論している。

(太田敦子)