厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化で増加した求職者に対する公的職業訓練を強化している。雇用に余剰が生じている産業から、人手不足が目立つ成長産業への労働移動を促す。2021年度の受講者数は、19年度に比べて6割増の20万人を目指す。
 厚労省は職業訓練を活用した労働移動の促進に向け、制度の周知を徹底するほか、ハローワークでの訓練受講の働き掛けを強化。需要が高まるデジタルや医療・介護分野は、受講枠の拡大やコース設定の充実を図っている。
 さらに、働きながら訓練と月10万円の給付が受けられる「職業訓練受講給付金」制度はシフト制労働者に配慮し、9月末まで収入・出席要件を緩和した。厚労省の担当者は、職業訓練について「利用実績を把握して検証し、必要に応じて見直したい」と話している。
 新型コロナの感染拡大で、雇用情勢は大幅に悪化した。勤務先の指示で休業を余儀なくされたり、勤務シフトの減少に悩んだりする労働者は多い。リーマン・ショック後と比べると、業種間格差が大きいのも特徴だ。
 日銀がまとめた3月の全国企業短期経済観測調査(短観)の雇用人員判断指数(全規模合計)を業種別に見ると、テレワーク普及の恩恵を受ける情報サービス業などが人手不足に陥っている。一方、感染回避のために利用が減少した宿泊・飲食サービス業などで雇用に余剰が生じている。 (C)時事通信社