1日就任した経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)にとっては、コロナ禍で打撃を受けた経済の再生に加え、世界規模で対応を迫られている脱炭素社会の実現など、待ったなしの課題が山積している。存在感の低下も指摘される経団連のトップとして、リーダーシップが問われることになる。
 十倉氏が記者会見で「逃げずにやっていきたい」と強調したのが、菅義偉政権が成長戦略として重視する気候変動問題への対応だ。2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標の実現に向け、秋までに経団連の「行動計画」をまとめる予定で、十倉氏は「日本はいまだに科学技術立国。産業界は一致団結できる」と自信を見せた。二酸化炭素(CO2)排出の多い業界を含め、産業界の足並みをどこまでそろえられるか、「財界総理」としての手腕が早速試される。
 中西宏明前会長(日立製作所相談役)が病気療養のため任期途中で辞任したことに伴い、緊急登板した十倉氏には発信力の強化も求められる。中西氏は療養中の病院からオンラインなどで経済界の意見を発信し続けたが、菅首相はIT・ベンチャー経営者らとの会合も頻繁に行っており、重厚長大企業中心の経団連の提言などは埋没しがちだ。
 十倉氏は就任前のインタビューで「社会から支持されない経団連は政治への影響力を持ち得ない」と述べた上で、政治に対しても「言うべきことは言う」と強調した。理想に掲げる持続可能な経済社会の実現に向け、政策への影響力を高めていけるかが大きな課題となる。 (C)時事通信社