出生前~小児期における二次喫煙(SHS)への曝露は、将来的に児にどのような影響を及ぼすのか。中国・Sun Yat-sen UniversityのLi-Zi Lin氏らは、小学生~高校生4万5,000例超を対象に横断研究を実施。解析の結果、出生前~小児期のSHS曝露が注意欠陥・多動性障害(ADHD)と関連し、常時曝露されていた場合のリスクは3倍近かったと、JAMA Netw Open2021; 4: e2110931)に発表した。

質問票への回答が得られた4万5,562例を解析

 妊婦の喫煙は出生児のADHDリスクになると報告されているが、中国では女性の喫煙率は男性に比べ低い(2018年:2.1% vs. 50.5%)。一方、中国人女性の約40%は家庭内でSHSに曝露されており、こうした環境因子が児のADHD発症に影響する可能性がある。

 これまでにSHS曝露とADHDとの関連について、SHSへの曝露時期やADHDの病型を考慮した検討はほとんど行われていない。そこでLin氏らは、2012年4月~13年1月に中国・遼寧省の小学校~高校に通っていた6~18歳の児4万8,612例を対象に横断研究を実施。SHS曝露とADHDとの関連を、曝露時期(出生前、出生後早期、現在)、病型(不注意優勢型、多動性・衝動性優勢型、複合型)を考慮して検討した。

 児のSHS曝露とADHDおよび病型に関するデータは、教師経由で保護者に渡された質問票から収集した。 ADHDと病型は、『精神障害の診断・統計マニュアル(第4版)』に基づき評価した。データの分析は、2020年9月14日~12月2日に行った。

 解析対象は、質問票への回答が得られた4万5,562例(女子2万2,905人、平均年齢11.0±2.6歳)。そのうちADHDは2,170例(4.8%)で、病型の内訳は不注意優勢型1,816例(4.0%)、多動性・衝動性優勢型91例(0.2%)、複合型263例(0.6%)だった。

ADHDリスクは曝露経験群で1.50倍、常時曝露群で2.88倍

 学校、児の年齢、性、兄弟姉妹の有無、出生状況(早産、低出生体重)、親の学歴、世帯年収、母親の年齢、母親の喫煙、妊娠中の母親の飲酒状況を調整した上で解析したところ、出生前~小児期にSHSへの曝露経験がなかった群(非曝露群)と比べ、曝露経験のあった群〔オッズ比(OR)1.50、95%CI 1.36~1.66、P<0.001)、常時曝露されていた群(同2.88、2.55~3.25、P<0.001)ではADHDのリスクがいずれも有意に高かった。

 病型別に見ても、SHS曝露によるADHDリスクはいずれも有意に高かった(OR 1.46~2.94、P≦0.01)。

リスクは出生前の曝露で2.28倍、出生後早期の曝露でも1.47倍に

 曝露時期別に解析したところ、出生前にSHSに曝露された群では、同時期の非曝露群と比べ、ADHDリスクが有意に高かった(OR 2.28、95%CI 2.07~2.51、P<0.001)。出生後早期にSHSに曝露された群、現在の曝露群でも、各同時期の非曝露群に比べADHDリスクは有意に高かった(出生後早期曝露群:同1.47、1.29~1.68、現在曝露群:同1.20、1.09~1.31、いずれもP<0.001)。

 以上から、Lin氏らは「出生前~小児期におけるSHSへの曝露が、小学生~高校生時のADHDリスクになる。特に出生前および出生後早期の曝露でリスクが高かった」と結論。その上で、「SHSへの曝露を減らすよう公衆衛生上の取り組みを強化していくことが重要である」と強調している。

(比企野綾子)