菅義偉首相は2日、新型コロナウイルスワクチンの途上国向け調達のため8億ドル(約880億円)を追加拠出する方針を表明し、「かつてない規模の貢献だ」と自賛した。「ワクチン外交」をめぐっては米国、中国、ロシアがしのぎを削り、日本の「周回遅れ」が目立つ。日本国内での接種がようやく本格化する中、首相は外交面での挽回にも全力を挙げる。
 「ワクチンへの公平なアクセスの実現に向けて大きく前進させていく決意だ。国の置かれた状況や経済力によって左右されることは断じて許されない」。首相は欧米各国、国連などが参加した「COVAX(コバックス)ワクチンサミット」で途上国支援に主体的に取り組む考えを強調した。会議は日本が中心となってオンライン形式で開いたものだ。
 自国開発・生産のワクチンがない日本はCOVAXという国際枠組みへの関与強化を通じて国際的な存在感を高めたい考え。首相としては英国で来週開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)の成功につなげる狙いもある。
 ワクチン途上国支援は、首相と公明党の山口那津男代表の2日の会談でも話題になった。山口氏は記者団に「来るG7でもテーマになる。日本が先行して資金面でリード役を果たすことが大事だということで首相と認識が一致した」と、首相の意気込みを代弁した。
 ワクチン外交をめぐっては中国やロシアが自国製ワクチンの途上国供給で先行し、米国も外国への供給に本腰を入れている。官邸幹部は「中国製を打っている国はあまり感染者が減っていないというデータがある」と指摘し、中国をけん制した。日本はCOVAXへの資金投入で巻き返しを狙うものの、まずは国内での接種を順調に進められるかが課題となる現状は変わらない。 (C)時事通信社