政府が新型コロナウイルスワクチンの職場接種を21日から開始する方針を示したことを受け、保険や交通など接客を伴う大企業を中心に検討が進んでいる。店舗が多い業界では課題が多いものの、食品スーパー大手ライフコーポレーションは「従業員が接種しやすい環境を整えることで安心安全に働けるようになり、お客さまの安心安全にもつながる」と前向きな姿勢を示している。
 明治安田生命保険は診療所がある東京都内の2カ所で、月5000人に職場接種を行う予定だ。産業医や保健師、看護師を活用し、顧客と接する営業職員を優先して進める。今後は名古屋や大阪、福岡、札幌、仙台といった大都市圏の施設でも実施を検討する。
 交通事業者では、日本航空と全日本空輸が21日の接種開始を目指して準備している。パイロットなど乗務員を優先する方針だ。JR東日本も「安定輸送確保の観点から、職場接種をできるように準備する」としている。
 伊藤忠商事は2日、東京と大阪の本社で21日から職場接種を開始すると発表した。社員や委託先など約7500人が対象で、8月をめどに2回目の接種を終える予定だ。
 大規模工場を持つ製造業でトヨタ自動車やホンダなどが、通信・IT企業ではNTTやソフトバンクグループといった大企業が接種に向けて検討を進めている。
 職場接種をサポートする取り組みもある。貸し会議室を手掛けるティーケーピーは、企業向けにワクチン接種会場の提供を始める。医療従事者向けサービスを展開するエムスリーと提携し、接種会場に派遣する医師の紹介も行う。
 一方、小規模店舗を多く抱える外食チェーンやコンビニエンスストアからは「事業所がかなり分散しているので、そこでの接種は難しい」(外食大手)との声も聞かれる。医師の確保やワクチン保管の問題もあり、業態によっては対応が難しいところも出てきそうだ。 (C)時事通信社