強い力で引っ張られると強くなり、繰り返しの負荷にも耐える高分子ゲル素材の開発に、東京大物性研究所の真弓皓一准教授らの研究チームが成功した。人工靱帯(じんたい)や人工関節などへの応用が期待されるという。論文は4日、米科学誌サイエンス電子版に掲載された。
 高分子ゲルは、長いひも状高分子の網目構造で水などを閉じ込めたゼリー状の素材。生体適合性が高く、コンタクトレンズなどにも使われる。しかし、人工靱帯などへの応用には十分な強度と、元の状態に素早く戻って繰り返しの負荷に耐える能力(回復性)が必要で、両方を兼ね備えたものはなかった。
 研究チームは、高い回復性を持つが強度に難があった「環動ゲル」と呼ばれるゲルに着目。実験中に研究室の学生が誤って高分子の濃度を高くした「失敗作」の環動ゲルが、高い強度と回復性を示したことをヒントに、新たなゲルを開発した。
 詳しく調べたところ、このゲルは引っ張られると、内部のひも状高分子の向きがそろい、結晶のような状態となって強度を増すことが判明。力が弱まると元の状態に戻り、繰り返しの負荷に耐えることも分かった。 (C)時事通信社