政府・自民党が東京五輪・パラリンピック開催をめぐり、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長に対する不満を強めている。開催に伴う感染リスクを訴える発言を繰り返していることへのいら立ちからだ。開幕まで2カ月を切る中、中止・延期論が一段と高まりかねないと懸念を深めている。
 尾身氏は3日の参院厚生労働委員会で、五輪開催に関し「普通ではない」と明言。4日の衆院厚労委でも「人流が増える。やるのであれば覚悟を持ってさまざまな感染対策をすることが求められる」などと訴えた。
 こうした発言について、政府高官は「尾身氏は五輪開催を判断する立場にはない」と不快感を隠さない。別の政府関係者は「五輪で医療が逼迫(ひっぱく)したときに『警鐘を鳴らした』としておきたいのではないか」と皮肉った。
 自民党幹部も同様に「当初、自分は部外者と言っていたのに、言っていることが変わってきている」と語気を強める。世耕弘成参院幹事長は4日の記者会見で「言っていることは極めて専門家として当然のことだ」と評価したが、今のところ政府・自民党内では少数派。理解を示す声はあまり聞こえてこない。
 もっとも、尾身氏を分科会会長に起用したのはほかでもない政府。コロナ対策をめぐる重要局面で助言を受けるなど重用してきた。それだけに今になって発言の自重を促すわけにもいかないようだ。首相官邸幹部は「尾身氏をグリップできない」と頭を抱える。
 尾身氏はコロナ対策の専門家の観点から五輪開催の在り方について言及しており、尾身氏への不満を強めれば、むしろそれが政府・自民党への批判となって跳ね返る可能性もある。 (C)時事通信社