新型コロナウイルスのワクチン接種が進む欧州各国では、新規感染者数が減少し、厳しい行動制限や飲食店の営業規制が段階的に緩和されている。観光地には人出が戻りつつあり、苦境にあえいでいた飲食・宿泊業界にもようやく希望が見えてきた。
 古城が人気で、日本人も多く訪れるドイツ南西部の都市ハイデルベルク。5月に観光客のホテル宿泊やレストラン店内での飲食が可能になった。市街地には無料の簡易検査場が幾つも設置され、ウイルス対策も進む。
 大手ホテルチェーンで働くクラウディオ・アッゼニさん(35)は「予約がどんどん入っている」と笑顔を見せる。飲食店にも活気が戻ってきており、深夜営業規制のため午後10時に一斉閉店するまで陽気に騒ぐ若者の姿も見られる。
 ローマやミラノなど世界有数の観光地を多く抱えるイタリアでも、低迷していた観光業に復活の兆しが見られ、消費全般への波及が期待されている。イタリア銀行(中央銀行)のビスコ総裁は「(行動制限でお金を使えず)積み上がった貯蓄が徐々に消費を押し上げるだろう」と前向きだ。
 ただ、コロナ禍で激減した観光客数は、どん底からようやく上向き始めた段階だ。ハイデルベルクで土産物店を経営する大阪府出身の中窪茂さん(66)は、「訪れるのは国内客ばかりで土産物を買ってくれない」と嘆く。日本などワクチン接種が遅れる国を含め各国からの観光客が戻るまで、本格的な回復には時間がかかりそうだ。 (C)時事通信社