刑務所の受刑者らへの新型コロナウイルスワクチン接種をめぐり、矯正施設を所管する法務省がジレンマを抱えている。感染リスクが高まる「3密」になりやすい環境のため、ワクチン接種を進めたい考えだ。しかし、実施は施設がある自治体頼み。自治体が刑務所などでの接種を優先してくれる見込みはない。
 刑務所や拘置所、少年院などは感染リスクの高さが指摘されており、ワクチン接種の対象は5万人余りが見込まれる。
 全国にある刑務所などの矯正施設では、5月3日から30日の間に、収容者17人が感染。6月に入っても、法務省はほぼ連日、職員や収容者の感染を発表している。
 このため、法務省は自治体が確保している医療従事者に刑務所などへ訪問してもらい、ワクチン接種を行う方向で調整している。各刑務所などは、接種を担う自治体と具体的な実施時期などを詰めることになるが、法務省関係者は「一般国民と同じタイミングで打ちたい」と漏らす。
 しかし、高齢者への接種が完了していない自治体は多い。一般への接種もこれから本格化するため、刑務所などでの早期接種が可能かどうかは不透明だ。この関係者は「うちだけ早くしてくださいと言うわけにはいかない」と苦しい胸の内を明かした。 (C)時事通信社