高緯度地域では冬季の日照不足によりビタミンD欠乏が生じやすいことから、サプリメントによるビタミンD摂取が有効とされる。では、高緯度の極限である南極大陸におけるビタミンDサプリメント摂取の有効性はー。チリ・Pontificia Universidad Católica De ChileのCarolina Cabalín氏らは、南極大陸滞在者を対象としたビタミンDサプリメント摂取がビタミンD値に及ぼす影響を検討するため、システマチックレビューおよびメタ解析を実施。結果をInt J Circumpolar Health2021; 80: 1926133)に報告した。

日本人含む南極大陸滞在者が対象

 ビタミンDは主に皮膚への紫外線B波(UVB)曝露により生成される他、魚などの食事からも摂取できる。しかし、緯度が40度以上の地域では冬季の日照時間が短いことから、ビタミンD欠乏が生じやすい。加えて南極大陸や北極といった極めて高緯度の地域に滞在する人は1年を通じてビタミンDの生成が不十分という。

 そこでCabalín氏らは、南極大陸滞在者を対象にビタミンDサプリメント摂取がビタミンD値に及ぼす影響について検討するため、システマチックレビューおよびランダム効果メタ解析を実施した。対象は2020年12月1日までにPubMed、Medline、Web of Science、Scopusに掲載された論文から抽出した21件。このうち血清または血漿25-ヒドロキシビタミンD〔25(OH)D〕値が記載されるなどの条件を満たした13件(294例)について解析した。

 対象者の国籍は英国(1件)、オーストラリア(3件)、スペイン(1件)、アルゼンチン(2件)、インド(1件)、米国(2件)、ドイツ(1件)、ウルグアイ(1件)、日本(1件)で、南極大陸滞在日数は中央値365日(範囲22〜456日)。ベースライン時(滞在直後)の25(OH)Dの平均値は64.9±19.1nmol/Lであった。

滞在直後にビタミンDが低下、サプリで著明な改善

 各対象者の南極滞在終了時における25(OH)D値のベースラインからの平均変化量について検討した結果、−15.0nmol/L(95%CI −25.9〜−4.2nmol/L、I2=92%、P=0.007)と有意な低下が確認された。夏季と冬季の比較では、25(OH)D値の平均変化量は夏季が1.26nmol/L(同−14.6〜17.1nmol/L、I2=86%、P=0.9)、冬期が−17.0nmol/L(同−24.1〜−9.8nmol/L、I2=83%、P<0.0001)と、冬季でのみ25(OH)D値の有意な低下が示された。

 ビタミンDサプリメントの1日当たりの平均摂取量は1,000IU(100〜2,000IU)で、摂取期間の中央値は180日(範囲22〜365日)であった。ビタミンDサプリメントの摂取が25(OH)D値に及ぼす影響について検討したところ、ビタミンDサプリメントの摂取により25(OH)D値は平均10.8nmol/L(95%CI 3.3〜18.3、I2=88%、P<0.0001)の有意な上昇が認められた。

 今回の結果から、Cabalín氏らは「南極大陸に滞在直後からビタミンD値は有意に低下し、特に冬季はより顕著であることが明らかになった。加えて、ビタミンDサプリメントの摂取によりビタミンD低値は改善することが示唆された」と結論。その上で、「これらの結果から、南極大陸滞在者はもとより、UVB曝露量が少ない環境下におけるビタミンDサプリメント摂取の必要性が示された」と付言している。

松浦庸夫