7日の参院決算委員会で、菅義偉首相は東京五輪・パラリンピックを開催する方針を改めて鮮明にした。野党は新型コロナウイルス感染拡大の懸念を追及したが、首相はかわす答弁に終始し、議論は深まらなかった。
 「海外から変異株が持ち込まれ、人流が増加し、医療体制が逼迫(ひっぱく)する可能性がある」。立憲民主党の福山哲郎幹事長はこう指摘した上で、「開催を可能とする医療体制、感染者数など、みんなが納得する判断基準を示してほしい」と迫った。
 首相は「世界から選手が安心して参加できるようにし、国民の命と健康を守るのが開催の前提条件だ」と強調。「前提が崩れれば(五輪は)行わない」とも語ったが、具体的な基準には触れなかった。
 福山氏は納得せず、「前提が崩れるかどうかは何で判断するのか」と食い下がった。しかし、首相は同じ答弁を繰り返すと、「大会関係者のPCR検査を徹底し、国民との接触を防止することで、感染の危険性がないようにする」と述べるにとどめた。
 共産党の小池晃書記局長は、五輪の感染拡大リスクを問題視する政府コロナ対策分科会の尾身茂会長に、開催の可否を諮問するよう求めた。首相は「尾身会長と西村康稔経済再生担当相が連絡を取り合っている」と拒否。小池氏は「首相は記者会見でいつも尾身氏に助け船を求めている。諮問すると都合の悪い意見が出るからだ」と断じた。
 一方、福山氏は感染拡大に備えるため、16日までの今国会会期の延長を要求したが、首相は「状況を見ながら判断する」と言質を与えなかった。この日の質疑では、答弁を閣僚に委ねる場面も目立った。9日には党首討論も控えるが、やりとりは45分間だけ。首相は守りを固めて会期末の「時間切れ」を待つ狙いとみられる。
 終了後、福山氏は記者団に対し、質問に正面から答えない首相の姿勢を「あまりに無責任だ」と非難。小池氏も「『五輪をこういう形で開催するから安心して』という説得力ある話は聞けなかった。国民はとても安心できない」と酷評した。 (C)時事通信社