若年層における精神病患者は心血管代謝疾患(心血管疾患および2型糖尿病)の高リスク者だが、予測アルゴリズムが確立されていない。英・University of CambridgeのBenjamin I. Perry氏らは予測アルゴリズムの構築と検証を行い、結果をLancet Psychiatry2021年6月1日オンライン版)に報告した。

若年精神病患者651例を基にアルゴリズム構築

 統合失調症患者は一般人口と比べ平均余命が10〜15年短く、主な原因として2型糖尿病や肥満、心血管疾患といった身体的要因の影響が指摘されている。そうした心血管代謝リスクの予測アルゴリズムが提唱されているものの、対象はいずれも35歳超であると、Perry氏らは指摘。

 そこで同氏らは、若年精神病患者を対象に最長6年間の心血管代謝リスクが予測できるアルゴリズム「PsyMetRiC(Psychosis Metabolic Risk Calculator)」の構築および検証を行った。

 PsyMetRiCは、英国の2つの早期介入サービス(EIS)に2013年1月1日〜20年11月4日に登録された16〜35歳の精神病患者651例のデータを基に、フルモデルと部分モデルの2種類を構築。フルモデルは年齢、性、人種、BMI、喫煙状況、代謝活性を有する抗精神病薬(metabolically active antipsychotic medication)の処方状況、HDLコレステロール値、トリグリセライド値が含まれ、部分モデルでは生化学データを除外した。

 主な患者背景は平均年齢が24.52歳、白人が361例(55%)、男性が440例(68%)、BMIが23.63、喫煙者が315例(48%)、代謝活性を有する抗精神病薬の使用が455例(70%)、平均空腹時血糖が93.4mg/dLであった。

フルモデルで良好な検証結果と高感度

 651例中510例を検証用サンプル、505例を感度解析用サンプルとした。検証用サンプルを用いて、両モデルの内部検証(internal validation)および外部検証(external validation)を行ったところ、いずれも良好な結果が得られた〔internal validation(フルモデル:C 0.80、95%CI 0.74〜0.86、部分モデル:同0.79、0.73〜0.84)、external validation(同0.75、0.69〜0.80、0.74、0.67〜0.79)〕。同様に較正(calibration)を行ったところ、フルモデルは良好な結果が認められたが、部分モデルではわずかな不良(slight miscalibration)が示された。

 次に、意思決定曲線分析(decision curve analysis)により予測能を検討した。その結果、フルモデルでは介入を要するリスクスコアのカットオフ値を0.18超とした場合に7.95%の純便益(net benefit)が認められた(感度:75%、95%CI 66〜82、特異度:74%、同71〜78)。これは、心血管代謝高リスク者のメタボリックシンドロームが47%予防できることを示している。部分モデルでも同様の結果が得られた。

 これらの結果から、Perry氏らは「若年精神病患者を対象とした初の心血管代謝リスクの予測アルゴリズムPsyMetRiCを構築、高い予測能が示された」と結論。「PsyMetRiCは精神病患者の早期介入に携わる医療職にとって有用なツールになりうるだろう」と付言している。

松浦庸夫