建設アスベスト(石綿)被害者を救済する給付金支給法の審議は、与党主導による異例のスピードで進められた。ただ、潜在する被害者の把握や建材メーカーの責任の在り方など、課題は残されたままだ。
 被害者の救済策は、最高裁判決前の2月に発足した与党プロジェクトチーム(PT)で検討され、5月に取りまとめられた。今月2日には議員立法で法案が衆院厚生労働委員会へ提出され、成立までの期間はわずか1週間だった。
 厚労省は、同法の対象者を約3万1000人、支給総額は約4000億円規模と推計する。このうち、既に関連疾患を発症して労災認定を受けたのは約1万1500人と試算。関連疾患の潜伏期間が15~50年と長いため、約2万人が今後30年間に新たに発症するなどと想定した。同省は被害者把握などに向け、8日から電話相談を受け付けている。
 弁護団が5月に実施した電話相談には761件の相談が寄せられた。大半は60歳以上で、4人に3人は労災や現行の石綿救済法による給付金制度の認定を受けていなかった。弁護団は「全貌が見えない。掘れば掘るほど対象者は増えるのでは」と指摘する。
 最高裁が賠償責任を認めた建材メーカーを加えた補償制度は、結論が先送りされた。与党PTは当初、メーカーも基金を拠出する制度を検討。しかし、協力に難色を示したり、既に廃業したりしたメーカーもあり、国単独の制度創設を優先させた。弁護団は今後、メーカーを相手に新たな訴訟を起こす方針だ。 (C)時事通信社