菅義偉首相(自民党総裁)と野党党首による党首討論が9日、行われた。新型コロナウイルス対策に関し、立憲民主党の枝野幸男代表が緊急事態宣言の解除基準の厳格化を柱とする「ゼロコロナ」戦略への転換を求めたのに対し、首相は「ワクチン接種こそが切り札だ」と反論。接種回数が今月末に4000万回を超えるとの見通しを示した上で、「10月から11月にかけて希望する国民全てに終えることも実現したい」と表明した。
 党首討論は2年ぶりで、菅政権で初めて。首相は東京五輪・パラリンピックについて「国民の命と安全を守れなくなったらやらないのは当然だ」と中止の可能性に改めて言及しつつ、「世界が新型コロナという大きな困難に立ち向かい、団結して乗り越えることを日本から発信したい」と開催に強い意欲を示した。枝野氏は「命と暮らしが失われたら取り返しがつかない」と再考を促した。
 枝野氏はコロナ禍での生活支援策が不十分だとして、16日までの今国会会期を延長し、30兆円規模の2021年度補正予算案を速やかに編成するよう要求。首相は「国会のことは国会で決めてほしい」と延長を受け入れず、補正予算に関しても「状況を見ながら判断する」と応じなかった。
 立憲は次期衆院選をにらみ、党首討論を今国会最後のヤマ場と位置付けており、首相答弁を踏まえて内閣不信任決議案提出の是非について最終調整に入った。枝野氏は討論の最後、「(首相の言葉からは)危機感や責任感を感じられなかった。政権を代えるしかない」と訴えた。
 日本維新の会の片山虎之助共同代表は衆院議員任期の10月21日まで衆院を解散せず、戦後2回目の任期満了選挙とする可能性をただした。首相は「感染対策にしっかり取り組むことを優先していきたい」と述べるにとどめた。
 共産党の志位和夫委員長は、コロナ対策分科会の尾身茂会長が五輪開催のリスクに警鐘を鳴らしていることを取り上げ、「国民の命をギャンブルに賭けるべきではない」と主張。首相は「尾身氏の意見も参考に感染対策の詰めを行っていく」と答えた。国民民主党の玉木雄一郎代表がワクチン接種歴を証明するワクチンパスポートを東京五輪から導入するよう提案したのに対し、首相は「加藤勝信官房長官の下で検討している」と語った。
 党首討論は衆参両院の国家基本政策委員会の合同審査会として参院の委員会室を使って開かれた。 (C)時事通信社