東京五輪・パラリンピックのパブリックビューイング(PV)をめぐり、都内の自治体などから新型コロナウイルスの感染拡大を懸念する声が相次いでいる。埼玉県が感染リスクを理由に2カ所のPV中止を決めたが、両大会の開催都市である東京都は具体的な対応を示していない。専門家は「都は協議の場を持ち、耳を傾けるべきだ」と指摘する。
 都は大会組織委員会と共催で、PVと競技体験などを行う「ライブサイト」を都内に2カ所設置。他に都主催のPV会場も4カ所開設する予定だ。うち都立代々木公園(渋谷区)のライブサイトは五輪期間中、ワクチン接種会場として使うことを決定。パラリンピックではPVを行う方向で調整している。
 もう一つの都立井の頭公園(武蔵野市、三鷹市)のライブサイトについて、武蔵野市は今月4日、松下玲子市長名で「感染状況に鑑み、中止」を求める要望書を都に提出した。三鷹市はPV中止は求めない方針だが、1日2万人とされる参加者の削減など感染対策徹底を都に要請。7日には同公園にワクチン接種会場を作るよう追加で要請した。
 1200人収容の講堂大ホールで都のPVが開かれる都立大南大沢キャンパス(八王子市)。教職員で構成する同大労働組合は2日、講堂貸し出しに反対する声明を発表した。「今は学生が安心安全に教育が受けられるために全力を尽くすべきだ」と主張している。
 こうした声に対し、小池百合子知事は4日の記者会見で「今後のコロナの状況や組織委のガイドラインなどを踏まえての準備、調整となる」と説明。「密を避ける(参加者の)事前予約など工夫している」とも述べたが、具体策はまだ公表していない。
 地方自治が専門の礒崎初仁中央大教授は「変異株が広がる中、会場の地元が感染を心配するのは当然。都は説明責任を果たす義務がある」と指摘。実施する場合も「懸念を払拭(ふっしょく)する徹底的な対策が必要だ」と話した。 (C)時事通信社