うつ病患者に対する脳神経刺激療法のうち、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法と経頭蓋直流電気刺激(tDCS)療法の有効性を比較した試験は行われていないとして、チェコ・National Institute of Mental Health Czech RepublicのMartin Hejzlar氏らは統合解析を実施。結果をNeuropsychiatr Dis Treat2021年5月28日オンライン版)に報告した。

2件のランダム化比較試験を解析

 海外では過去数十年にわたり臨床でも施行され、有効性を確立してきたうつ病治療法である神経刺激療法。Hejzlar氏らによると、rTMS療法とtDCS療法を直接比較した報告はないという。そこで同氏らは両者を比較する統合解析を行った。

 解析したのは2件のランダム化比較試験(EUDRACT n. 2005-000826-22、同2015-001639-19)で、いずれもセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬ベンラファキシン(VNF)を対照にそれぞれrTMS療法またはtDCS療法と4週にわたり行われた。

 両試験の対象は計117例(女性84例、平均年齢45.3歳、rTMS療法群29例、tDCS療法群29例、VNF群59例)で、大うつ病性障害(MDD)の単一または反復エピソードを呈しており、ベースライン時のMontgomery-Åsberg Depression Rating Scale(MADRS)のスコアは、rTMS療法の試験が20点超、tDCS療法の試験が25点超であった。統合解析では、ベースラインから4週時のMADRSスコアの変化量を評価。治療反応はMADRSスコアが50%以上の低下、寛解は同スコアが10点以下と定義した。

MADRSスコア変化量および治療反応・寛解率は同等

 ベースラインから4週時のMADRSスコアの変化量を3群で比較した結果、rTMS療法群は7.02点(95%CI 4.22〜9.82点)、tDCS療法群は7.67点(同4.87〜10.47点)、VFN群は8.85点(同6.90〜10.81点)と、有意な群間差は示されなかった〔F統計量(2,111)=0.62、P=0.54〕。治療反応率および寛解率についても同様の結果が認められた〔rTMS療法群(治療反応率31%、寛解率17%)、tDCS療法群(同24%、17%)、VFN群(同41%、27%)〕。なお、脱落例も3群で同等であった(rTMS療法群は3例、tDCS療法群は6例、VFN群は11例)。

 以上の結果から、Hejzlar氏らは「MDDの急性エピソード患者に対するrTMS療法およびtDCS療法、VFNの3つの治療法の有効性は同等であることが示された」と結論。加えて、「安全性についても忍容性の高さが確認された」としている。

松浦庸夫