菅義偉首相にとって対面では初参加となった英国コーンウォールでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)。首脳宣言には日本が目指した東京五輪・パラリンピック開催支持などが明記され、一定の成果を挙げた。14日に帰国した首相は、国内政治に再び軸足を戻すが、新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言の解除の是非、東京五輪・パラリンピックの観客受け入れなど難しい判断が次々と控えている。
 「私自身初めての参加だったが、率直に意見交換ができた」。一連の討議を終えた首相は、現地で記者団に、サミットをこう振り返った。同行記者団による別の取材には「人との付き合いは下手な方だが、非常に力まずに言いたいことは言えた」と上機嫌で語った。
 政権発足以来、「外交が苦手」と評されてきた首相。サミットでは緊張した表情を見せ、各国首脳と集団で歩く時も、少し離れて「ひとりぼっち」となる場面が目立った。
 しかし、サミット最終日に採択された首脳宣言には「五輪支持」と「台湾海峡の平和と安定の重要性」が盛り込まれた。日本外務省関係者は「満点の内容だ」とアピールする。
 特に、東京五輪については「新型コロナに打ち勝つ世界の団結の象徴」として、「開催することを改めて支持」と明記。テレビ会議形式で開かれた2月のG7首脳会議の声明は「日本の決意を支持する」だったため、「(各国の姿勢が)一段上がった」(日本政府関係者)書きぶりとなった。
 台湾についても、中国との経済関係を重視するドイツのメルケル首相に対し、菅首相が個別に直談判。首脳宣言への反映に理解を得たという。
 一方、帰国した首相を待ち構えるのは、20日に期限が迫る緊急事態宣言を解除するかの判断だ。新規感染者は減少傾向にあるものの、解除に踏み切れば五輪開幕を直前に控え、リバウンド(感染再拡大)を招きかねないジレンマがある。首相は「客観的情勢を踏まえながら、専門家ともしっかり相談しながら決めていきたい」と語った。
 五輪の国内観客の在り方については月内に方針を決定する。首相は「観客あり」に前向きだが、専門家などは感染リスクを指摘して「無観客」を求めており、調整は難航しそうだ。
 「日本の首相の外交は、訪米とG7サミットが洗礼。この二つを無事終えた菅首相は自信を深めるだろう」。首相同行筋は、今回の外遊をこう振り返った。
 G7サミットの来年の開催地はドイツで、再来年は日本。首相が来年も出席するためには衆院選や今秋の自民党総裁選を乗り越える必要がある。記者団から次のサミットに参加する意欲を問われた首相は「その時にならないと分からない」とけむに巻いた。 (C)時事通信社