今年(2021年)3月、再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を適応症として、抗悪性腫瘍薬/微小管阻害薬結合抗CD79b抗体薬物複合体(ADC)ポラツズマブ ベドチン(商品名ポライビー、以下、ポラツズマブ)が承認を取得した。キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法とともに、再発・難治性DLBCLに対する新たな治療選択肢となることが期待されている。製造販売元の中外製薬は6月3日、ポラツズマブに関する記者説明会を開催。登壇した国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科科長の伊豆津宏二氏は「自家造血幹細胞移植(ASCT)が難しい高齢患者への新たな治療選択肢となりうる」と指摘した。(関連記事:「ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体がDLBCLに対し国内承認」

再発・難治性DLBCLの"Challenging Situations"

 日本で年間約3万人が罹患するとされる悪性リンパ腫のうち、約45%と半数近くを占めるDLBCL。60〜70歳代の高齢者に好発し、全身のあらゆる臓器から発症する。初回治療としては抗CD20抗体リツキシマブの登場以降、リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン(R-CHOP)療法の有用性が確立しているが、再発・難治例の予後は不良であり、二次治療以降の治療選択肢は限られていた。

 再発・難治性DLBCLの治療戦略は、ASCTの適応の有無によって分かれる。伊豆津氏は治療法が限定的な"Challenging Situations"として、二次治療における救援化学療法非感受性例、ASCT後再発例、ASCT非適応例の3パターンを提示。「若年のASCT後再発例に対する三次治療ではCAR-T療法が考慮されるが、高齢のASCT非適応例にはこれまで有効性の高い選択肢が存在しなかった」と述べた。

ASCT非適応例への新たな選択肢に

 このようなアンメットメディカルニーズを解消すべく、リツキシマブ以来18年ぶりの抗体製剤として開発されたのが、ADCのポラツズマブである。抗CD79b抗体に結合した微小管重合モノメチルアウリスタンE(MMAE)がCD79bを介して腫瘍細胞内に取り込まれた後、リンカーが切断されて遊離したMMAEが抗腫瘍効果を発揮する。投与はベンダムスチン+リツキシマブ(BR)療法との併用において、1回当たり1.8mg/kg(体重)を3週間間隔で6回点滴静注する。

 ポラツズマブの有効性と安全性は、再発・難治性DLBCL患者80例をポラツズマブ+BR療法群(年齢中央値67歳)とBR療法群(同71歳)に1:1で割り付けた海外第Ⅰb/Ⅱ相臨床試験GO29365で検証した後、国内においてポラツズマブ+BR療法群(同71歳)の単アームを対象とする第Ⅱ相臨床試験P-DRIVEで確認した。

 GO29365では、主要評価項目の完全奏効(CR)率はポラツズマブ+BR療法群が40.0%で、BR療法群の17.5%を有意に上回った()。副作用は好中球減少が53.8%、血小板減少が48.7%、末梢性ニューロパチーが43.6%に認められた(J Clin Oncol 2020; 38: 155-165)。ポラツズマブ+BR療法の有効性および安全性については、P-DRIVEでも同様の傾向が認められた。

図. 主要評価項目:CR率

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J Clin Oncol 2020; 38: 155-165)

 以上の結果を踏まえ、伊豆津氏は「ポラツズマブ+BR療法は外来治療が可能なレジメンであり、長期の疾患コントロールが目標となる高齢でASCT非適応の再発・難治性DLBCL患者に新たな治療選択肢を提供できる薬剤である」と期待を示した。

(平山茂樹)