関節リウマチ(RA)患者の多くが生物学的または分子標的型の疾患修飾性抗リウマチ薬(b/tsDMARD)を使用しているが、b/tsDMARDの使用が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に及ぼす影響は明らかでない。米・Brigham and Women's HospitalのJeffrey A. Sparks氏らはCOVID-19に罹患したRA患者において、b/tsDMARDの使用とCOVID-19重症度の関連を検討。その結果、COVID-19罹患時にリツキシマブ(RTX)またはJAK阻害薬を使用していたRA患者では腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬使用者よりもCOVID-19重症化リスクがそれぞれ4倍、2倍に上昇した、と欧州リウマチ学会(EULAR 2021、6月2~5日、ウェブ開催)で発表した。

クラス別にTNF阻害薬に対するリスクを比較

 Sparks氏らは、2020年3月24日~21年4月12日にCOVID-19 Global Rheumatology Alliance医師登録およびEULAR COVID-19データベースに登録された患者1万5,127例からRA患者6,132例を抽出。b/tsDMARD〔①アバタセプト(ABA)②RTX③インターロイキン(IL)-6阻害薬(トシリズマブ、サリルマブ)④JAK阻害薬(トファシチニブ、バリシチニブ、ウパダシチニブ)⑤腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ)〕による治療を行っていた患者について、順序ロジスティック回帰分析法を用いて交絡因子(年齢、性、併存症、喫煙状況、肥満、従来型DMARD使用、グルココルチコイド使用、RA疾患活動性など)を調整して、TNF阻害薬と比較した各クラスの薬剤によるCOVID-19重症化リスクを検討した。

 COVID-19重症度は①入院なし②酸素吸入なしの入院③酸素吸入または人工呼吸器を必要とした入院④死亡―で分類した。

アバタセプト、IL-6阻害薬はリスクに影響せず

 解析対象はRA治療薬が特定できた2,869例(平均年齢56.7歳、女性80.8%)。COVID-19発症時に使用していたb/tsDMARDの内訳は、ABA 237例、RTX 364例、IL-6阻害薬317例、JAK阻害薬563例、TNF阻害薬1,388例だった。

 RTX使用者はTNF阻害薬使用者に比べて間質性肺疾患(11.0% vs. 1.4%)、がん既往歴(7.4% vs. 0.9%)が有意に多かった。グルココルチコイド高用量使用、中等度~高度のRA疾患活動性については薬剤クラスによる違いは認められなかった。

 2,869例中613例が入院し、そのうち酸素吸入が必要なかったのは137例、酸素吸入または人工呼吸器を要したのは319例で、157例が死亡した。

 COVID-19の重症度とb/tsDMARDの関係について見ると、入院を必要としない割合はTNF阻害薬群(1,185例、85.4%)とIL-6阻害薬群(271例、85.5%)で他の群に比べて多かった。酸素吸入または人工呼吸器を必要とした入院の割合はJAK阻害薬群(86例、15.3%)とRTX群(80例、22.0%)で他の群に比べて多く、死亡の割合もJAK阻害薬群(40例、7.1%)とRTX群(54例、14.8%)で他の群に比べて多かった。

 交絡因子調整後のCOVID-19重症化リスクは、TNF阻害薬群に対してRTX群では4倍〔オッズ比(OR) 4.15、95%CI 3.16 ~5.44、P<0.01〕、JAK阻害薬群では2倍(同2.06、1.60~2.65、P<0.01)に有意に上昇した。ABA群とIL-6阻害薬群では、COVID-19重症化リスクへの影響は見られなかった。さらに、入院リスク、酸素吸入または人工呼吸器を必要とした入院リスク、人工呼吸器装着リスク、死亡リスクについてもTNF阻害薬群に対してRTX群とJAK阻害薬群で有意に上昇したが、ABA群とIL-6阻害薬群では関連は認められなかった。

 以上から、Sparks氏は「RTXまたはJAK阻害薬を使用していたRA患者は、TNF阻害薬使用者に比べてCOVID-19重症化リスクが上昇した。これらの患者ではリスク軽減策を講じる必要がある」と結論した。

(大江 円)